2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03763
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川地 啓介 三重大学, 人文学部, 准教授 (40455069)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 財政競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究期間の初年度であるため、各年度に割り当てた研究課題を取り込みやすいように拡張性に優れることに加え、比較検討するためのベンチマークとなることを想定しながら簡素な基本モデルを構築することに注力した。 さらに、当初計画で各年度に割り当てた研究課題を前倒しして、政策協調の持続可能性及び政策協調の多様性に関連する研究を行うために、構築した基本モデルを拡張した繰り返しゲームの枠組みを用いた税競争モデルに、国家間の異質性及び国際的な財政移転政策を明示的に導入することによって、財政移転政策が税制協調へ及ぼす影響に焦点を当てた分析を行った。その結果、すべての国々が税制協調に参加するのではなく、一部の国々による部分的な税制協調が行われる場合、その持続可能性に国際的な財政移転の枠組みが影響することを導出した。特に、部分的な税制協調に参加する国が資本の輸出国になる場合に部分的な税制協調を促すためには、税制協調に参加しない国を国際的な財政移転の枠組みへ合流するように促す方が、協調参加国のみで財政移転の枠組みを構築するよりも優れていることを示した。対照的に、部分的な税制協調に参加する国が資本の輸入国になる場合には、協調参加国のみで財政移転の枠組みを構築する方が優れていることを示した。 また、伝統的な税競争理論と関連の深い公共財の自発的供給理論に関して行ったアンケート調査を用いて地域活動の現状と課題をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の初年度として、本研究のベンチマークとなる基本モデルを構築することに重点を置いた。また、構築した基本モデルを応用することで、当初計画を前倒しして他年度の研究課題に取り組むことができた。得られた研究成果は論文としてまとめられ、事前審査付きの国際学会において報告された。さらに、査読審査付きの国際学術専門誌であるInternational Review of Economics and Financeに掲載された。本研究の目標として、事前審査付きの国際学会における報告及び海外の国際学術専門誌への投稿を通じた論文評価をあげていたが、初年度において両方をクリアすることができた。以上から、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、次の二点を重視しながら研究を進める予定である。第一に、本年度に構築した基本モデルを活用して、当初計画で2年目の研究課題として割り振られた政策の多様性について分析を行うことである。第二に、可能であれば、他年度に割り振られている研究課題についても基本モデルを拡張したモデルの構築を模索する。以上について、新たな研究成果を得ることができれば、その都度、論文としてまとめ、学会における報告や海外及び国内の学術専門誌に投稿することを目標とする。
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