2017 Fiscal Year Research-status Report
効率性に影響を与える要因を用いたわが国の水道事業者の新しい分類の開発
Project/Area Number |
17K03767
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中山 徳良 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90278854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 効率性 / 水道事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、効率性を計測することにより、事業者の新たな分類を開発することを目的としている。 そのため、平成29年度ではまず水道事業についての計量分析を用いて分析を行っている文献の収集と整理、わが国の水道事業のデータの収集と整理を行った。 次に、2005年度から2014年度のデータを用いて市営の末端給水事業者により供給される水道水に対する需要関数を推定した。近年は水道水の需要量が減少しているが、それが効率性へ影響していると思われ、水道水の需要関数の推定を試みることにした。その結果、価格弾力性は0.08程度と推定された。 効率性に関しては、予備的な分析として、確率的フロンティア法とDEAを用いて、2000年度、2005年度、2010年度、2015年度について市営の末端給水事業者における技術効率性の計測を行った。その結果、確率的フロンティア法による計測では技術効率性の最大値と最小値の差が0.5から0.6程度あること、DEAによる計測では最大値と最小値の差が0.9程度あることがわかった。どちらの計測方法によっても、最も効率の悪い事業者が効率性を改善させることは非常に難しいことが推測できる。 もう一つ効率性に関する予備的な分析として、メタフロンティア分析を試みた。2015年度の市営の末端給水事業者(給水人口が10万人以上)のデータを用いて、水源区分により差異があるとしてDEAを用いて分析した。水源区分としてダムを主とするもの、受水を主とするもの、表流水、その他に分けて分析を行っている。その結果、technology gap ratioは平均でみるとダムを主とするものが85%、受水を主とするものが91%、表流水が99%、その他が85%となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、効率性の要因分析まで行う予定であったが、効率性の計測までしか実施できなかった。要因分析については、理論的に想定できるような結果が得られていない。分析方法が原因であるのか、そうではなく得られた結果が事実なのか不明である。この点についてさらなる分析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず効率性の要因について研究を進める。効率性については、確率的フロンティア法とDEAについて、さまざまな手法が開発されているので、それらを使用して要因分析を行う。 同時に水道事業の事業者のデータ、地域のデータについては毎年新しいものが発行されるので、順次新しいものを追加していく。また、文献についても新しいものを収集する。 そして、効率性の要因の研究を踏まえて、主成分分析やクラスター分析を行い、事業者の分類を試みる。そして、それを用いて分類を行う。その分類を実行したグループごとに効率性の計測をし、分類の検証をする。その結果を学会報告すること、あるいは研究雑誌に投稿することを目指す。
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