2017 Fiscal Year Research-status Report
消費増税が消費行動に与える影響に関する研究:行動経済学と経済実験によるアプローチ
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17K03768
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高橋 広雅 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80352540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀋 俊毅 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (10432460)
竹本 亨 帝塚山大学, 経済学部, 教授 (60551512)
鈴木 明宏 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (30312721)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 消費税増税 / 経済実験 / 参照価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、「税率引き上げの際に、引き上げる税率の幅を小刻みにしていく方が一気に引き上げる場合よりも消費を減らす効果が小さい」という仮説を検証するための経済実験を実施した。実験の内容は次の通りである。各実験参加者は「くじ」購入の意思決定を9回続けて行う。このくじの期待賞金は120ポイントである。(1ポイントは0.3円に換算されて実験後に支払われる。)毎回900ポイントが実験者から参加者に与えられ、このポイントを使ってくじを購入する。(全額使う必要はないが、繰り越して後でくじの購入にあてることは出来ない。購入に使わなかったポイントも換金される。)くじの価格の変化に応じて2つのトリートメントがある。一つは価格が130ポイントから始まって4回目に150ポイントに上昇し、それ以降その価格を維持するもの。(1stepトリートメント)もう一つは130ポイントから始まり4回目に140ポイントに上昇し6回目までその価格を維持、さらに7回目に150ポイントに上昇してそれ以降その価格を維持するもの(2stepトリートメント)である。実験は関西大学経済実験センターで実施され136名の学部生が参加した。実験の結果は「徐々に価格をあげる場合と一気に価格をあげる場合では、最高価格にあがったときの消費量は、前者の方が少ない」というものであった。これは仮説とは反対の結果である。このような結果が得られた原因として、人は変化する前の価格を参照価格とし、それからの価格変化に応じて消費量を変化させるが、その変化の性質が影響しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成29年度は本実験を設計するための予備実験の実施とそれをうけて実験計画を策定する予定であった。しかし本実験を実施するまで研究を進めることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究結果をまとめて論文を執筆する予定である。その上で外部の意見を参考にして、さらに上述の仮説を検証する実験をすすめるか判断する。また本研究では「税率引き上げの際に、税額の表示方法が総額表示方式の方が外税方式より消費が減らない」というもう一つの仮説の検証をすることになっているので、この仮説を検証する実験のための予備実験、計画策定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
経済実験への参加人数が計画を下回ったため。
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Research Products
(5 results)