2017 Fiscal Year Research-status Report
政府支出のクラウディング・アウト/イン効果の地域間スピルオーバー
Project/Area Number |
17K03770
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
舟島 義人 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (30635769)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 芳宏 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (20632235)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 政府支出 / 民間需要 / 地域間スピルオーバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次の2つのテーマに焦点を当てた実証分析を行うものである。一つ目のテーマは、政府消費支出と公共投資を区分した場合のクラウディング・アウト/イン効果の地域間スピルオーバーを検証することである。二つ目のテーマは、地方政府の公共投資を補助事業と単独事業に区分した場合のクラウディング・アウト/イン効果の地域間スピルオーバーを推計することである。 平成29年度に得られた研究成果は次のように要約できる。まず、一つ目のテーマに関して、日本の都道府県別パネルデータを用いて実証し、その成果を論文"Spatial Crowding-out and Crowding-in Effects of Government Spending on the Private Sector in Japan" (with Yoshihiro Ohtsuka)としてまとめ、TGU-ECON Discussion Paper Series #2017-3に公表した。この論文では、都道府県間で民間消費や民間投資は正の相関があるため、政府は地域間スピルオーバーを考慮して財政政策を実施する必要性があることが示された。また、こうした地域間スピルオーバーを考慮すると、公共投資に比して政府消費は民間部門の経済活動を阻害する程度が高まることが明らかとなった。さらに、地域ブロックに分けた推計を試み、地域ブロックごとにスピルオーバーの程度が異なることを指摘した。 二つ目のテーマについては、先行研究の調査を行い、分析を行うための予備的な考察を行った。なお、上記の二つのテーマに関連したマクロ経済政策にまつわる基礎研究を併せて行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の二つのテーマのうち、一つ目については平成29年度中に論文としてまとめ、学術雑誌に投稿済みである。必要に応じて論文の修正を行うが、研究遂行の見通しはついている。 二つ目のテーマについては、文献調査を行う段階に留まっているものの、残りの研究期間で当初の計画通りに分析することは十分に可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初計画に大きな変更はなく、上記二つのテーマを柱に研究を行っていく。一つ目のテーマについては、査読付き国際学術誌に投稿中であり、必要に応じて追加検証や論文の加筆修正を行う。二つ目のテーマについては、データ収集および実証分析を行う。その結果を学会や研究会で報告し、論文としてまとめる。加えて、財政政策と景気変動に関わる基礎研究を併せて行っていく。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は100,000円の前倒し請求を行ったが、予想よりも支出が抑えられたため、6,818円の次年度使用額が生じた。この金額は平成30年度以降に新しく出版された研究関連の書籍の購入などに充てる予定である。
|