2020 Fiscal Year Research-status Report
公共選択にまつわる地方行政官の行動様式に関する研究:職員団体と公共調達に注目して
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17K03771
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
西川 雅史 青山学院大学, 経済学部, 教授 (90334143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公共選択 / 地方自治体 / 高レベル放射性廃棄物 / 公共調達 / 地方財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,COVID-19により学会や研究会での活動を制限されたため,研究途上の成果について対外的評価を受けることが困難であった.それゆえ,研究途上のものの研究計画は進捗が遅れたものの,研究の終了間近であったものを公刊することに注力することができた.その成果は,主として高レベル放射性廃棄物の最終処分施設受け入れにまつわる地方自治体の公共選択に関するものである. (1) 西川雅史「社会科学と科学的特性マップ」『アトモス』2020年1月. (2) 西川雅史・髙橋朋一・斎藤英明「科学的特性マップのデジタル化」『経済政策ジャーナル』2021年(近刊) 上記のうち(1)は過年度の実績であるが,(2)と一対のものであり,継続的かつ包括的(ナラティブな読み物と,技術的論文)な考察を展開してきたことが理解されると思う.こうした中,昨年の夏,北海道寿都町・神恵内村が,高レベル放射性廃棄物の最終処分施設受け入れに関する文献調査を受け入れたことで,近時の重要な社会問題として急浮上している.私どもの研究は,そうした社会的な趨勢とは一線を画すものではあるが,その重要性は高まっていると言える.また,上記に関連するより学術性の高い成果については,海外雑誌に投稿中であるが,残念ながら採択されるに至っておらず,修正の途上にある. なお,このほか,地方自治体の公共調達に関する研究は,相模原市からの協力を得てデータベースの構築が進んでおり,初期的な成果を得始めている.それらは,私的研究会などでの公表を始めており,対外的な評価・批判を踏まえて修正した後,公刊を目指すことになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は2つの意味で遅滞している.
(1)地方自治体の公共調達に関する研究について,いまだ明瞭の成果をあげることができていない. (2)予定されていた,新たな研究課題(地方自治体における「まち作り政策」)の橋頭堡となる研究を進めることができなかった.
研究全体を鳥瞰したときに,取り組んでおくべき(先に整理しておくべき)課題がみつかり,これに手間取ってしまい,研究計画が全体として遅れてしまった.また,後者については,予定されていた視察がコロナ禍によって中止になるなど,外生的な要因もあった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,(1) 公刊に向けて論文を手直しする段階にあるもの,(2) 研究途上にあるのもの,(3) 萌芽的段階にあるものを,それぞれ次のステップへ進めていきたい.詳細な内容は以下である. (1) 高レベル放射性廃棄物に関する住民の認知に関する研究は,海外学術誌へ投稿中であり,公刊を引き続き目指す. (2-a) 地方自治体の公共調達に関する研究は,サーベイ,データ整備,初期的研究は終了しており,論文として成果物を仕上げることが目標となる. (2-b) 地方自治体の汚職に関する研究は,公刊を目指して海外雑誌へ投稿したが,必ずしも高い評価を受けられず,構成を見直している.やや時間が係りそうであるが,研究を進展させたい. (3-a) 地方自治体の公共選択について,テキストブックの1章を執筆する予定である. (3-b) 地方自治体のまち作りについて,人口集積の視点から考察することを計画している.すでに共同研究者との打ち合わせ,既存研究のサーベイなどは始めており,研究会や学会等で対外的に評価を求めることができる程度まで成果をだすことが本年度の短期的な射程である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,学会や研究会での報告機会が失われたことで,旅費が減少したことと,第三者からの評価を受ける機会がないことで,研究の進展が遅れたことが未使用額が生じた主因である.2021年度は,オンライン形式での研究会参加なども増えると思われ,第三者からの評価を踏まえつつ成果物をブラッシュアップしたい.
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Remarks |
(査読を経た研究ノート) 西川雅史・髙橋朋一・斎藤英明「科学的特性マップのデジタル化」『経済政策ジャーナル』2021年(近刊)
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