2022 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative study on the role of intermediary services and public regulation in the labor, the housing, and the marriage markets
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17K03776
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安藤 至大 日本大学, 経済学部, 教授 (80377126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 安寧 日本大学, 経済学部, 教授 (40336508)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 臨床研修マッチング / 差分プライバシー / 労働移動 / リスキリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な実績は以下の2点である。 まず大阪公立大学の北原稔との共同研究として、"A conditional match rate anomaly and an order change pressure in residency matching programs"を日本経済学会春季大会にて報告した。この研究は、研修医マッチングの過程において病院側が研修医に対して「私たちのプログラムをリストの一位に書くのであれば、あなたを確実に採用する」といった取引(または圧力をかける行為)の存在と程度を示す研究である。論文では、実際にデータから無視できない水準の圧力の存在と効率性のロスが観察されることを定量的に示した上で、この問題を軽減するための介入手法を提案している。 またいわゆるvacancy chainに関する研究について取り組みを始めて、課題の明確化を行なった。vacancy chainとは、一つの空席を別の会社の労働者が移動して埋めることでまた空席が生まれるといった一連の労働移動のことを指す。現在日本では、人口減少による人手不足対策などを理由として、リスキリングを通じた労働移動が注目されているが、その効率性を評価する必要がある。そして玉突きの労働移動は、取引費用の分だけ望ましくない、また関係特殊的投資が損なわれるといった問題点が指摘されていた。これに対して、日本では、社会的な適材適所を実現するためにも玉突きの労働移動が重要であるという視点からの研究を継続した。
本研究の期間を通じて、これまで労働市場・住宅市場・結婚市場における取引と、マッチングの仲介に関する理論研究を実施した。特に(1)仕事と労働者のマッチングの効率改善の観点から、労働移動の理論、特に兼業や副業の効果を検討し、また(2)誰がどの地域に住むのが効率的かという視点から居住地選択とマッチング支援についての成果を得た。
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