2019 Fiscal Year Research-status Report
90年代以降の短大の再編が女性の教育水準と就業に及ぼした影響に関する経済学的検証
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17K03778
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| Research Institution | Hosei University |
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Principal Investigator |
酒井 正 法政大学, 経済学部, 教授 (00425761)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 向洋 愛知学院大学, 経済学部, 講師 (10636244)
荒木 宏子 近畿大学, 経済学部, 准教授 (30635131)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 短期大学 / 四大化 / 学校基本調査 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、90年代以降の短期大学の再編（四大化）という高等教育サービス供給の量的な変化が、人々（特に女性）の進学行動に及ぼした影響とその帰結を明らかにすることにある。研究事業の3年度目は、前年度に引き続き、県別に集計された「学校基本調査」（文部科学省）を個票データ（「消費生活に関するパネル調査」）に接続したデータセットに基づき、大学及び短大の定員数と進学決定の関係について更に掘り下げた分析や頑健性の確認をおこなった。 まず、大学（短大）による教育サービスの供給量の代理指標として高校卒業生一人当たりの大学（短大）教員数を用いることの妥当性を、制度上と統計上の両面から検討した。その結果、教員数を定員数の代理変数とすることは理にかなっていると主張できるに足る根拠を得た。次に多項ロジット・モデルによる分析の結果、地元の短大の定員数が減ると、短大への進学確率が下がり、高校を卒業して教育を終了する確率が上がることがわかったが、この傾向は特に国公立の短大で大きいことが示された。一方で、地元の四年制大学の定員数が増えても、大学進学確率には影響しない。すなわち、短大の四大化は、全体としては、女性の四大進学には寄与していなかった可能性が示唆される。ただ一方で、都市部に限定すれば、地元の四年制大学の定員増加は大学進学確率を高める傾向があることも一部見出された。この結果を、専門分野の研究会で報告し、多くのフィードバックを得た。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に作成したデータセットを基に、大学や短大への進学決定に定員数が及ぼす影響について、得られた結果の頑健性の確認や更に掘り下げた分析をおこなった。具体的には、大学教員数が定員数の代理変数として妥当であるか多面的に確認したうえで、国公立の定員と私立の定員を分けたり、統御変数を加えたりした推計をおこなった。また、定員数の変動に潜む内生性についても検討をおこなった。その結果、定員数が進学決定に及ぼす影響については、ある程度、頑健な結果を得られたと考えるが、同時に、推計のうえで改良すべき点やその後の人生への影響等、残された課題も明確になった。90年代の短大再編のインパクトを総合的に評価するには至っておらず、当初目標としていた学術誌への投稿も出来ていないため。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目標を達成していないため、補助事業期間の延長を申請し、認められた。今後、以下のような残された課題に対処する分析を進めて行く。第一に、実際の定員数の利用可能性である。定員数が本当に高等教育サービスの供給量として妥当であるかは議論の余地もあるが、定員数が県レベルで集計可能であるならば、それを利用した推計と比較検討する必要がある。第二に、いまだ「四大化によって増えた定員数」を推計にあたって正確に同定できていない点である。この点について、いくつかの案を検討中であるが、有効な解決には至っていないので引き続き考えて行く必要がある。第三に、短大の再編によって四大化された大学に進学することになった女性たちの、その後のキャリアや家族形成等についても確認できていないことである。この点についても、就業や賃金、婚姻状態をアウトカムとする推計をおこなう予定である。
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| Causes of Carryover |
研究班として何度か会合を持ったが、1名の分担者が東京の大学へ転籍したことに加え、更に、他の分担者についても、他の用件と合わせて会合を持ったため、全体として、研究の打ち合わせにかかる旅費の支出が不要になった。また、研究の最終段階や報告にあたって必要となって来ることが想定された資料や機器についても、分析の進捗がやや遅いことから、次年度に執行することとした。
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Research Products
(1 results)
