2017 Fiscal Year Research-status Report
資産・所得が個人の選好や行動に与える影響に関する実証研究
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17K03783
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
花岡 智恵 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (30536032)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 選好 / 流動性制約 / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
貧困者と非貧困者の行動は、なぜ違うのか。従来の研究では実証結果が混在しており未解明な点が多い。そこで本研究では、貧困者と非貧困者の行動が異なる要因として①個人の選好(時間選好・リスク選好)と②流動性制約に着目する。各要因が行動に与える影響を検証することで、貧困者と非貧困者の行動の違いの背景にあるメカニズムを検証する。 ①データセットの作成 データ:2ヶ国のnational representative sampleを使用した。(1)ドイツ経済研究所「ドイツ社会経済パネル」(German Socio-Economic Panel)。(2)ミシガン大学「健康と引退に関する調査」(Health and Retirement Study)」。前者のデータはドイツ全土の16歳以上の男女、約2万人を対象としている。後者のデータは50歳以上の米国在住者、約2万人を対象としている。給与所得のない65歳以上の公的年金受給者を分析対象とした。これらのデータは共通して観測値の数が多く、調査実施の期間が長いという強みがある。 主要な説明変数:外生的な流動性制約,被説明変数:アンケート調査で個人の選好パラメータを計測する際に一般的に用いられる調査項目が含まれている。 ②推定:上記データを使用して、外生的な流動性制約が個人の時間・リスク選好パラメータに影響を与えているかどうかを推定する。まず、分析モデルのアウトカムである選好パラメータの変数と、主要な説明変数である外生的な流動性制約の変数を作成し、それらの関連性を見るためにプロットを作成した。次に、ドイツ経済研究所「ドイツ社会経済パネル」のデータを使用して、外生的な流動性制約が個人の時間・リスク選好パラメータに影響を与えているかどうか推定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データセットの作成と推定は本年度の計画であり、おおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施した分析結果について、実際の行動(貯蓄・負債・生活習慣など)に与える影響をみても一致した結果が得られるかどうかを検証する。また、それらの結果について複数のデータセットを使用して結果の頑健性を確認する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に購入予定であったデスクトップパソコン本体と液晶ディスプレイを購入することができなかったために生じた。これらの物品は平成30年度に購入予定である。
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