2018 Fiscal Year Research-status Report
An economic theory of grandparents and the application to policy evaluation
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17K03784
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮澤 和俊 同志社大学, 経済学部, 教授 (00329749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四谷 晃一 同志社大学, 経済学部, 准教授 (10351280)
北浦 康嗣 法政大学, 社会学部, 准教授 (90565300)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / 年金 / 出生 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の研究実績の概要は以下の通りである. (1) 先進国では,公的医療水準と国債残高の間に逆U字の関係が観察される.医療水準の低い国では,国民医療費の上昇とともに国債残高が増加する.他方,医療水準の高い国では,国民医療費と国債残高は無相関,あるいは両者の間に負の相関がある.この観察結果を,動学的政治経済理論を用いて説明した.高齢化にともなって医療への選好が強くなると,医療費が増加する.医療費を税で賄うか,国債で賄うかを政治的に決める場合,政治家は労働世代と引退世代の経済厚生に配慮する必要がある.医療水準が低い経済では,国債発行の厚生損失が小さいため,医療費の拡大とともに国債残高が増加する.しかし,医療水準の高い経済では,利子率の上昇とともに厚生損失が上昇するため,国債残高が減少する.以上のメカニズムを論文にまとめ,大学紀要に発表した.モデルをより一般化したのち,専門誌に投稿する予定である. (2) 市場統合と財政の維持可能性の関係を動学モデルを用いて分析した論文を,研究所のディスカッションペーパーとして発表した.この論文は,投稿後,修正依頼が来たため,再投稿の準備を進めている. (3) 先進国の所得再分配の規模の違いを,動学的政治経済理論を用いて説明した論文を,国際学会で報告した(International Institute of Public Finance).この論文は,再投稿に向け修正作業を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論モデルの構築については,基本的に,研究代表者,研究分担者が個別に研究を進めている.当初の計画にしたがい,宮澤(代表者)は高齢者の労働参加と育児協力について,北浦(分担者)は児童労働と資産格差の関係について,四谷(分担者)は学校教育について研究を進めている.進ちょく状況を把握し,共同研究を進めるために,定期的に研究会を開催している(Nagoya Macroeconomics Workshop, Doshisha Economics Workshop).
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は最終年度であるため,研究成果の発表に重点をおく.具体的には,国際学会での報告を2件予定している(Association for Public Economic Theory, International Institute of Public Finance).論文については,掲載が受理されるよう修正作業を継続する.また,これまで通り,名古屋と京都で定期的に研究会を開催し,共同研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
北浦(分担者)の研究出張を延期したため. 次年度,北浦(分担者)の研究出張を増やす予定である.
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