2017 Fiscal Year Research-status Report
教育・起業投資と最適課税分析:税収制約下で成長と公平性の両立は可能か?
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17K03788
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
小川 禎友 近畿大学, 経済学部, 教授 (30330228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 亮 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90324855)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 最適課税 / 教育投資 / 経済成長 / 技術進歩 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者である小川は、教育投資を考慮した最適課税問題を分析した。本研究の教育投資は、個人の能力を改善する(賃金率を引き上げる)ことを目的とする。教育投資を最適課税理論に導入する上で、2期間モデルではなく、静学モデルを用いて分析を行なった。割り当てられた時間は、労働供給、余暇消費、そして自身の教育投資に分けられる。教育投資効果を考慮した所得レベルの下で財消費の選択をする。2期間モデルでは効用関数を特定化しなければ解析的な結果を導出できないが、上述したモデルでは一般的な効用関数の下で最適課税構造を調べることが可能になる。同質的な個人を仮定し、最適物品税構造と所得税構造を調べた。最適課税構造は従来のRamseyルールを考慮するだけでなく、教育投資に投入される時間、財の投資効果も考慮することを明らかにした。 研究分担者である堀井は、投資による経済成長の基礎理論について研究を行った。従来の一般的マクロモデルにおいては、最終財と投資財は同質的であると考えることが多いが、実際には、質をコントロールした投資財価格は消費財価格よりも早く下落することが多くの実証分析により知られている。もし、従来のマクロモデルのように、最終財と投資財の価格費を1:1と解釈するなら、このことは、1単位の投資財がより多くの成果を出している、つまり資本増加的な技術進歩が起きていることと同じである。この現象を説明するモデルを構築し、チュラロンコン大学、GRIPS、神戸大学等で中間報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(研究代表者:小川)おおむね順調である。教育投資を考慮した最適課税構造を分析した。 (研究分担者:堀井)おおむね順調である。投資が資本増加的な技術進歩が起こすモデルを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
(研究代表者:小川)現状の分析では同質的な個人を想定しているので、分配の問題は考慮していない。教育投資と分配の問題として、婚姻前の男女の教育投資を考えたい。例えば、婚姻前の男女が婚姻後により高い家計内交渉力を持つために、事前に自身の能力(賃金)を高めるための教育投資を選択するモデルの検討を進めたい。 (研究代表者:堀井)初年度の分析では、物的資本およびその投資(起業投資を含む)に注目しているが、同様の現象が人的資本・教育投資についても同様の分析が成立するか、検討したいと考えている。また、これまでの分析は代表的個人を仮定していたが、個人間の能力あるいは所得が異なるモデルも検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
共用設備の活用などにより、支出額の節約が可能となった。また、大学の個人研究費で充当できた部分もあった。次年度使用額は、海外共同研究者との打ち合わせやなどの旅費、英語論文の添削代などを中心に活用したい。
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Research Products
(4 results)