2018 Fiscal Year Research-status Report
The effects of childcare enrollment on child and parents
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17K03792
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 道人 立教大学, 経済学部, 准教授 (10749162)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認可保育所 / 入所申請 / 待機児童 / 保留児童 / 育児の負担感 / 育児休業 |
Outline of Annual Research Achievements |
各自治体により、すでに膨大な数の子育てアンケート調査や子育てニーズ調査が行われている。しかし、保育所入所申請を行った世帯に対する保育所申請についての調査や、保育所申請の結果どうなり、それが世帯にどのような影響を与えたかについてのアンケート調査は著者らの知る限り、どこにも存在しない。 そこで著者らは、ある都市部郊外の自治体の協力のもと、2017年4月に該当市の認可保育所に入所するために入所申請をし、かつ調査実施時期に継続して市内に在住していた2203世帯を調査対象とした全数調査を実施した。2018年度は、2018年2月末に回収が終了した調査票(1324世帯から返送があり、回収率は約60%となった)のデータ入力・精査・分析を進めた。回答世帯の調査対象世帯の構成とのずれは小さく、本調査による分析には一定の代表性があると考えられる。 分析の結果、保育ニーズを多くし(入所指数が高くなる)入所確率を上げるために、理想の労働日数や労働時間より長めに申請する者がいること、育児休業を年度初めよりさらに早めに切り上げ、入所までに認可外保育所に子どもを預けて就労実績を積む者がいる一方で、育児休業を延長するためにあえて待機児童になるために申請している者がいることが分かった。一方、すでに就労していたにも関わらず入所できなかった故に、退職した者の存在も確認された。また、入所した後では、申請書に記載した労働時間より短い就労時間で就労している者が一定割合いることも分かった。さらに入所できなかった親のストレス度が入所できた者より高いことなども明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査データは多様な視点から分析できるため、ひとつの分析の視点からの論文は執筆を完了させる予定であった。だが、回答データの矛盾などについて調査票と照らし合わせながら確認し、データをクリーニングする作業や調査対象自治体に提供する報告書の作成に時間がとられ、年度内に完成させることができなかった。 一方で、追加調査となる親へのグループインタビューは実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は調査票のデータの分析を進め、学会発表とともに複数の論文の完成を目指す。また量的データの分析だけでなく、調査票の自由記述の内容も示唆にとむものであったため、追加で実施したヒアリングの結果もあわせて質的データの分析を進め、学会発表や論文執筆を目指す。 また、2019年10月から保育の無償化も開始されるため、無償化の影響についても調査実施可能性を視野に入れて検討をしている。
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Causes of Carryover |
2018年夏に実施した追加調査である、認可保育所に入れた・入れなかった・就労している・無業である、という状況別の母親のグループインタビューは民間の研究助成資金を得て実施することができたため、科研費を使用せずにすんだ。また、東京や関西での研究会開催の際の交通費についても、他の研究会や各種団体の補助によって賄うことが可能になり、旅費をあまり使わずにすんだためである。2019年度は、保育の無償化の影響などについての調査などを実施することを計画中である。
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[Book] 無子高齢化2018
Author(s)
前田正子
Total Pages
219
Publisher
岩波書店
ISBN
978-4-00-002233-0