2017 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおける最低賃金上昇の影響評価:自然実験を利用した分析
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17K03794
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
東方 孝之 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアI研究グループ, 研究員 (70450533)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 最低賃金 / 地方分立 / インドネシア / 影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではインドネシアを事例に最低賃金の影響について、(1)地理的に隣接する地域間の比較、という従来の方法に加えて、(2)地方自治体の分立、(3)地方首長選挙の導入、といったイベントを利用して、定量的な分析を試みる。分析にあたっては特に2000年代の高い失業率との関係について因果関係を明らかにすべく、企業や個人単位でのパネルデータを用いる計画となっている。 一年目にあたる平成29年度は先行研究の整理を行う一方で、データ収集を進めた。分析に必要なデータとしては、年別地域別の最低賃金水準、就労者の賃金水準のほか、地方首長選挙や地方自治体の分立といったイベントのタイミングなどがある。そこで、まず、さまざまな公刊資料に掲載されているデータやインドネシア労働力省でのヒアリングをもとに地域別の最低賃金情報を集めた。労働力省からは1990年までさかのぼった州別の最低賃金情報が得られた。次に、地方首長選挙の情報については、地域別に選挙時期・候補者についての情報収集を進めるとともに、インドネシア総選挙委員会(KPU)が公開している近年の首長選挙投票結果の情報収集に努めた。最後に、インドネシア統計庁(BPS)から大規模世帯情報(SUSENAS)や大中規模製造業データを入手し、クリーニング作業を進め、後者についてはパネルデータ化も進めた。また、RAND研究所が公開している長期世帯パネルデータ(IFLS)についても、必要な情報の有無について確認を進めるとともに、クリーニング作業に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インドネシア政府が収集している大規模世帯パネルデータの公開が止められていることから、入手を予定していたデータが購入できていない。そのため当初の分析案の一部については変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度においては、これまでに収集したデータのクリーニングを進める一方で、暫定的な分析を試みる。特に、地理的な隣接地域間の比較というアイデアを用いた先行研究について、その分析の再現を行うとともに、2000年代に延長した場合についての暫定的な分析結果をまとめる。次に、人的資本への影響評価を探るべく、RAND研究所が公開している世帯パネルデータを整理する。最後に、地方首長直接選挙のタイミングを用いた識別戦略を試みる。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた資料の一部について、昨年度の時点では手に入れることが難しい(公開が差し止められている)ことが現地でのヒアリングから分かった。そのため、ひとまず次年度以降に資金を繰り越して、入手が可能となった段階であらためて手続きを進めることにする。
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