2020 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおける最低賃金上昇の影響評価:自然実験を利用した分析
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17K03794
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
東方 孝之 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (70450533)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 最低賃金 / 地方分権 / インドネシア / 影響評価 / 雇用 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシアでは2001年の地方分権制度導入をきっかけに、地方自治体レベルで最低賃金水準に変動が生じるようになった。本研究の目的は、この最低賃金水準の変動が企業や労働者・家計の厚生水準(就業状況・賃金水準)に与えた影響を探ることにある。分析にあたっては、まず、企業や労働者の個票データからその位置情報を確認する。その際には、特に地方自治体の境界域に近接するサンプルに注目して確認作業を進める。また、地方自治体や村レベルの情報とも組み合わせてパネルデータを構築する。次に、地理的に隣接し、かつ、最低賃金引き上げ水準が異なる地域間の比較や、地方自治体の分立、そして地方首長選挙の導入、といったイベントを利用した分析を試みる。 2020年度は、2015年以降の大統領選挙・国会議員選挙ならびに地方首長選挙の投票結果について詳細な情報を収集するとともに、最末端の行政単位である村・区レベルでの変遷過程についても2010年以降について情報を収集し、村・区のセンサスデータと組み合わせる作業を進めた。また、地方分権前には同一の最低賃金水準が導入されていた隣接しあう地方自治体に注目し、それらの地方自治体に含まれる製造業企業パネルデータを用いて、地方分権導入後の地方自治体ごとの最低賃金水準の変動が製造業企業の労働需要に与えた影響について分析を試みた。この分析結果の一部をまとめた論文は現在査読誌に投稿しており、査読結果を待っている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初利用する予定であったデータの購入が2019年度までできなかったため、別途データセットの構築作業が必要となり、計画に遅れが生じた。また、2020年度に予定していた現地調査が実施できなかったことにより一部データについて収集作業が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現時点で投稿・査読結果待ちの論文については今後の査読結果を反映させて修正・再投稿作業を進める。次に、より厳密な因果関係を明らかにすべく、地理的に隣接する地域に注目して、製造業企業パネルデータや人口センサスデータを用いて、地方分権後に生じた最低賃金水準の変化が、境界域で企業や家計にどのような影響を与えたかを探る。この分析結果については、今後Discussion Paperとしてまとめた上で査読誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた現地調査については新型コロナの感染拡大に伴い実施が困難となったため、次年度に繰り越すことになった。また、当初購入を予定していた大規模家計調査の個票データについては、2019年度になって一部のみがインドネシア中央統計庁により購入が許可されたが、残りについては2020年度においても未公開のままであったことから、その公開後に購入手続きを進めるべく翌年度へ繰り越した。
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