2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03796
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永易 淳 東北大学, 経済学研究科, 教授 (30375422)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 同時点間代替性 / 貿易財 / 非貿易財 / ミクロデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
貿易財と非貿易財における同時点間代替弾力性(Elasticity of Intra-temporal Substitution)を推定した。論文の大部分が実証研究であるため、まず日本の家計消費データや帰属性を総務省に申請し入手した。同様に、公表されている物価情報を総務省から取得した。総務省の家計データ(全国消費実態調査、4年分)には膨大な情報が含まれているため、研究で使用するミクロデータの選定と加工から始まり、初期段階の推定も行った。 同時に、先行研究をまとめ本研究の特徴を明確にした。この分野では、同時点間ではなく、マクロ経済学理論で頻繁に用いられる異時点間における代替性を研究した論文が大半を占める。その中で関連論文を厳正し、代替弾力性を求める推定式を導いた。基盤となる理論により推定式が異なってくるため、先行研究をもとに本研究に最も適した理論を構築した。実際、推定式により結果が異なることも確認している。 研究結果は、学会や研究会(日本金融学会(早稲田大学)、日本経済学会(青山学院大学)、大阪・京都大学マクロ経済ワークショップ(大阪大学)、第2回Household Finance Conference(一橋大学))で報告した。数々の討論者や参加者(本研究に関連する主な日本国内研究者)から有益なコメントを頂いた。また、研究結果は東北大学サービス・データ科学研究センターのDiscussion Paperとして公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究応募時点で既に研究は開始されていたものの、研究は当初の計画より早く進んでいる。上記にも記したが、学会や研究会での発表は研究期間の2年目に行う予定であったが、前倒しすることができた。また、初期段階ではあるが、東北大学Discussion Paperとしての公表も予定より早く行うことができた。研究が非常にスムーズに進展した理由として次の2点が考えられる。1)総務省から取得したデータは予想以上に整備されており、アウトライヤー(異常値)と考えられるデータを調整する必要が無かったこと、2)膨大な家計データを用いているが、今回本研究のために購入したコンピュータのメモリーで十分対処できること、が挙げられる。膨大なデータを取り扱う際、本格的な研究を開始する前に、データ整備やメモリー不足を解消するためデータを取り使うためのコンピュータ・プログラムを作成しなければならないが、今回はそのために多くの時間を費やす必要が無かった。
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Strategy for Future Research Activity |
主に上記の理由により、研究は予定より早く進めることができた。それにより、多くの研究発表の機会を設けることができ、早い時期に研究の問題点や課題を見つけることが可能となった。今後はそれらの問題点を解決することになる。指摘された幾つかの問題を解決するために、先ずより詳細のデータを取得する必要がある。例えば、現在の家計データには居住場所の情報が含まれていない。そのため、家計は大都市または大都市以外という区別のみ可能となっている。詳細の地域情報の不在は、物価の地域間における変動が実際より少ないことを意味する。これらの情報は個人情報として取り扱われおり、審査を経て使用可能となる。昨年度このような詳細情報を依頼したが使用許可を得ることができなかったが、今年も再度使用依頼を申請することを考えている。このように、今後は家計データや物価情報の詳細を得ることが最大の課題であると認識している。
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Research Products
(6 results)