2018 Fiscal Year Research-status Report
ゾンビ企業の経済分析-グループ経営へのシフトとM&Aの観点から
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17K03798
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
安田 行宏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (10349524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゾンビ企業 / M&A / 上場・非上場 / 資産売却 / リストラクチャリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、昨年度に整備した連結と単体のデータに基づき、企業の投資行動について分析を行っている。現時点においては単体ベースと連結ベースにおいてはその分析結果に違いがあることが判明し、その要因について検証を行っている段階にある。また、上場と非上場の違いについても加味し、特に単体ベースの企業においては、上場することで資金制約の緩和効果が大きいことが分かっている。一方で、連結ベースにおいては、上場と非上場による資金制約の緩和効果は見受けられず、内部資本市場の影響など、その理由について検証を継続している段階である。 さらに、資産売却などの負の投資に着目し、上述の検証を別途行ったところ、上場している場合に資産売却が積極的に行われ、また新規の投資が促進されることが実証的に判明した。この意味において、ゾンビ企業からの脱却手段としての資産売却行動が上場している状況において積極的であることが示唆される。負の投資の分析については、これを論文としてまとめて投稿した段階にある。 M&Aの論文については、銀行と企業間関係がM&Aに与える影響について分析を行い、銀行はゾンビ企業の延命に寄与するというよりは、企業が積極的にM&Aを促すように貢献していることを実証的に示す一方で、株式持ち合いなどの関係が銀行と企業にある場合には、その限りでなく、この意味でリストラ手段としてのM&Aの活用に対して消極的になり得る可能性を実証的確認した状況にある。この内容ついても論文としてまとめて投稿している段階にある。 銀行の融資に対する信用保証の影響について、リスクテイクを促すことやプロパー融資に対して代替・補完的関係が生じる条件などについて、理論的・実証的に分析した論文として発表した。ゾンビ企業に対する政府の公的政策の影響に対するインプリケーションが示唆される内容となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進行し、ワーキング・ペーパーとしてまとめる段階にあるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会・学会報告を積極的に行うことを通じて論文の質の改善を図ること軸に研究を進めていく。併せて、当該分野を専門とする海外研究者と連携を図りながら、グローバル視点での論文作成を心がけて論文執筆に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当初の購入予定のデータおよび物品の購入について、支出を抑制できたためである。これらの抑制分については、論文の改訂作業において、追加経費が必要となることが予定されており、その部分について有効的に使用する予定である。そのため、最終的には当初の予定通りの金額の支出を想定している。
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Research Products
(4 results)