2017 Fiscal Year Research-status Report
実証分析による金融市場・実体経済における金融政策の役割の再検討
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17K03804
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柴本 昌彦 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 准教授 (80457118)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融論 / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 非伝統的金融政策に関する論点整理を行った。 (2)` Inflation Shocks, Expectations and Monetary Policy’ 近年重要性が指摘されている中央銀行による期待安定化政策の実証的評価を行う。特に、アメリカにおける期待インフレ率や予期せぬインフレショックに対する政策金利の動学的な反応を推定し、その反応の違いや大きさと実体経済の影響を比較検討する。具体的には、(2-1) データセットの構築: アメリカフィラデルフィア連銀のSurvey for Professional Forecastのインフレ予想データからインフレ期待の更新に関するデータを計算した。また、Money Market Serviceに収録されているエコノミストの統計予想に関するデータを用いて予想できなかった経済の変化に関するデータを計算した。更に、アメリカのマクロ経済指標に関するデータセットを構築した。(2-2) インフレ予想の変化や予想できなかった経済ショックの動学的な反応を推定するためのVARモデルの構築及びプログラミングを行った。 (3)予期しない経済ショックと実体経済 (2)で構築したデータセット及び実証モデルモデルを用いてアメリカにおける「予期しない」経済ショックが実体経済に与える影響を推定した。分析結果によると、標準的な総需要・総供給モデルでは説明できない現象が生じている可能性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)「非伝統的金融政策に関する論点整理と報告」に関しては、その一部が、これまでの日銀の評価と今後の課題といった形で日本経済新聞にて掲載された。また、平成30年度に、日本金融学会で報告することが決定している。 (2)に関しては、データセットの構築・分析手法ともに順調に進めている。更に、本研究は、当該分野の第一人者であるアメリカのWilliams CollegeのKenneth N. Kuttner教授と問題意識を共有した結果として共同研究として行うことになった。Williams Collegeで分析結果に関して報告を行い、参加者と意見交換を行った。 (3)に関しても、Kenneth N. Kuttner教授と共同研究を行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿った形で研究課題を遂行する。 ①非伝統的金融政策に関する論点整理を下に、日本金融学会をはじめとした国内外機関で報告を行う。 ②平成29年度に行った実証分析を下に、国際査読付き雑誌に投稿するための学術雑誌を作成する。更に、国内外の学会やセミナーで研究報告を行う。 ③平成29年度に行った実証分析を日本のデータに応用するための、データセットの準備を行う。 ①から③を推進するにあたり、共同研究者のアメリカのWilliams CollegeのKenneth N. Kuttner教授の綿密な意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
次年度において、海外渡航費(研究打ち合わせ、研究報告)が多くなることが予想されたため
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Research Products
(1 results)