2020 Fiscal Year Research-status Report
実証分析による金融市場・実体経済における金融政策の役割の再検討
Project/Area Number |
17K03804
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柴本 昌彦 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 准教授 (80457118)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 金融論 / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)`Japan’s Monetary Policy: A Literature Review and Empirical Assessment’ 日本の金融政策を紹介するための論文を作成した。特に、過去の日本の金融政策に関する実証研究の論点整理を行うとともに、80年代以降の短期金利操作の動学的因果効果を推定し、シミュレーションを行うことで90年代のバブル崩壊後の日銀の金融政策運営、2008年の世界金融危機時の金融政策運営に関する評価を行った。その成果に関する学術論文を作成し、RIEB Discussion Paper DP2020-15で公表を行った。国際査読付き雑誌Journal of Computational Social Scienceに投稿し、改訂を行った上で、出版が決定している。 (2) 日本の非伝統的金融政策に関する実証研究の成果に関する学術論文を作成した。現在国際査読付き雑誌に投稿し、改訂作業を行っている。 (3)伝統的金融政策、マイナス金利政策、銀行行動: (1)で行ったモデルを拡張し、伝統的金融政策が銀行行動に及ぼす因果効果の推定を行った。また、マイナス金利政策下でのサンプル外予測の結果と現実の状況を比較し、マイナス金利政策の評価を行った。分析結果をもとに、国内研究集会にて報告を行った。 (4) ベースマネー、政策金利、マネーストックの相互依存関係に関する実証分析: 特に、ベースマネーとマネーストックとの間には長期的に安定的な関係は確認できなかったが、マネーストック、政策金利、実体経済との間には長期的な均衡関係が安定的に存在することが分かった。国内研究会での報告を行った。 今後の研究課題も明らかとなった。特に、インフレ動学における持続的な変動要因の役割持続的なインフレ率の変動要因と金融政策、期待管理政策への含意、といった点を挙げることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究計画は、概ね遂行できた。4年間を通じて、研究計画で予定していた分析結果を学術論文・雑誌、一般向け論考に纏めた。さらに国内外のセミナー及び学会報告等も行うことで、日本及び世界に向けて研究成果を幅広く発信した。一部研究に関し、論文の改訂作業が残っているが、概ね順調に遂行している。 ただし、昨年度末から続くコロナ禍の状況が改善しない中、予定していた国内外のセミナー及び学会報告等がキャンセルになるなど、研究成果を一部発信できない状況が続いている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在改訂中の学術論文を近日中に完成させる。昨年度末から続くコロナ禍の状況に関して不確実な部分が大きいが、国内外のセミナー及び学会報告等で研究成果を発信する。
|
Causes of Carryover |
昨年度予定していた国内外学会・セミナー報告・出張が全てキャンセルになり、延期することになった。 現在改訂中の論文があり、英文校正を行うため。
|