2021 Fiscal Year Research-status Report
Smooth Ambiguity and Real Options
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17K03806
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浅野 貴央 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (40423157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 曖昧性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下の3つの研究テーマを柱として研究を進めた。 1.昨年度に引き続き、Klibanoff et al. (2005, Econometrica)のモデルに基づき、曖昧性への態度が、意思決定者の投資行動にどのような影響を与えるかについて分析を行った。効用関数を使った通常のモデルでは、一変数による分析を行うことが多いが、二変数以上の分析を考慮した方がより相応しい場合が多い。例えば、人々の将来の効用を分析する場合、将来の金融資産に加えて、将来の健康状態を分析に加えた方がより現実的である。本研究では、二つの確率変数をモデルに取り込んだ上で、二つの確率変数に相関がある場合、相関の存在が人々の最適投資にどのような影響を与えるかについて、曖昧性のもとで分析を行った。さらに、確率優位の概念をモデルに取り込み、最適投資に与える影響を分析した。 本研究は、Discussion Paperとして公刊し、国際的学術誌に投稿・審査中である。2.Shaferタイプのbelief functionを特徴付ける数学理論を提示した。本研究は、Discussion Paperとして公刊し、国際的学術誌に投稿・審査中である。3.カオスに関する研究を行い、2本の論文をDiscussion Paperとして公刊し、国際的学術誌に投稿・審査中である。4. Chateaunef et al. (2007) が提唱したneo-additive CEUについて、新たな視点から公理化を行った。この研究は、uncertainty lovingとuncertainty averse に関連付ける公理群と、確実性等価に関連付ける公理群という、二つの公理群を発見し、この選好の新しい経済学的な意味付けを与えた。2021年度中に完成・投稿することは出来なかったが、2022年度の早い時期に国際的学術誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、対面による研究打ち合わせが大きく制約され、また、対面での研究報告が出来なかったため、想定通り研究は進展しなかった。一方で、曖昧性モデルを考慮したリアルオプションに関する研究論文は完成しなかったが、曖昧性モデルに関する研究論文を完成させ、さらに5本の論文を国際的学術誌に投稿・審査中であるため、このように自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度については、オンラインを使った研究交流を利用しながら、前年度までに得られた研究成果を踏まえた上で、複数の研究を進展させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる国内外の出張取りやめ、学内業務及び他の科研費との関係から、次年度以降に執行した方が適切と判断したため。 (使用計画)ワークステーションの購入費や出張旅費として適切に執行する予定である。
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