2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03811
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
郡司 大志 大東文化大学, 経済学部, 教授 (50438785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 憲治 法政大学, 経済学部, 教授 (10308009)
三浦 一輝 常葉大学, 法学部, 准教授 (70711159)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非伝統的金融政策 / 日本銀行 / ETF / 量的緩和 / マイナス金利政策 / DiD / RDD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では4つの研究を進めている。1つ目は、日本銀行(以下、日銀)が2016年に実施したマイナス金利政策が銀行貸出に与えた影響の推定である。昨年まで用いていた図ではいくつかの区間の標本平均だけしか示されていなかったが、各区間について標準誤差を示したり、複数の図をまとめて見やすくするなどの工夫を重ねた。推定においても、サブサンプルでの頑健性のチェックや、効果がないと予想されるサンプルでの偽薬(プラシーボ)テストなどを追加した。 2つ目は、日銀のETF買入によって、そのETFに含まれる株式銘柄の企業業績が変化したかどうかを推定するものである。昨年度までは政策の始まった2010年前後3年のデータで推定していたが、頑健性を確認するために今年度はデータを1から作成し直した。また、企業ガバナンスへの効果も見るために、株主総会データも整備し、追加した。 3つ目は、ETF買入政策が株価に与えた影響の推定である。複数の研究者が同じ動機で分析を行っていることがわかったため、当初の計画を見直し、他とは異なる推定戦略に変更した。それに合わせてデータベースを作り直している。 4つ目は、量的緩和政策前後で家計・企業の行動が変化したかどうかを検証するものである。昨年度は家計の推定を行っていたが、本年度は企業データをのサンプルを入手し、推定の方針について検討した。 いずれの研究についても、単に2変数間の回帰分析で相関関係を見るだけではなく、制度の特徴を生かして準実験的な因果推論を行うことで、これまでにない説得力のある推定結果を提示することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画したすべての研究が本格的に進められた。そのうち、マイナス金利政策が銀行貸出に与える影響についての研究では、学会やセミナーでの報告でいただいたコメントをもとに大幅に改定し、ディスカッション・ペーパー(DP)を公刊することができた。また、このDPに対して様々なコメントをいただいた。 ETF買入政策の企業業績への効果を検証する研究は、データを作成し直す必要が生じたため、進捗の遅れが心配されたが、年度中に終えることができた。推定についても半分以上進めることができた。 ETF買入政策の株価への影響についての研究では、他の研究との差別化をはかるために推定方法を見直した。その結果、当初の計画よりも適切な手法が適用できることがわかり、むしろ予定よりも前進した。データについても方針がたった。 量的緩和の効果の推定については、家計の他に、企業への効果も検証することにした。データを別途購入する必要があるため、今年度はトライアルでデータを取得した。仮推定を行い、家計の場合と同じように推定できることを確認した。 早く進んでいる研究や遅れている研究があり当初の計画とは異なってしまったが、全体としては想定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
進度の早い2つの研究については、さらに改定を行って、次年度には学術誌に投稿する。遅れているものは推定・執筆を終わらせ、次年度中に学会・セミナー報告を行い、研究期間内に学術誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は体調を崩してしまい、国際学会への参加が少なくなってしまったため。次年度は体調を整え、積極的に研究成果を発表したい。
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Research Products
(4 results)