2018 Fiscal Year Research-status Report
金融ネットワークにおけるセンターの理論・実証・政策: 破綻連鎖とネットワーク管理
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17K03816
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮越 龍義 法政大学, 理工学部, 教授 (60166139)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ネットワーク理論 / 金融センター / 金融公共財モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究計画に従い、(i) 29年度の金融破綻連鎖モデルの不備を訂正して改良した。 (ii) 動学的相関GARCH モデルを計算するプログラムを作成した。(iii) Engle (2002,Jof B&E Statistics), Tsukuda,Shimada & Miyakoshi (2017,IR of Economics&Finance)のDCC-GARCH モデルを使い、各国の国債収益率データを用いて、市場間の相関係数を各年度について動学的に推定し、金融ネットワーク構造を解明した。(iv) 金融ネットワーク構造の変遷の中で、どの国へも強い相関係数をもつ金融センターを特定化した。それはシンガポールであり、その結果を論文として2018 SFM Conference(台湾)で報告した。また、別の手法であるネットワークのDegree Centralityの指標を使い金融センターを特定化した結果、それもシンガポールであり、論文として2018 PBFEAM Conference(USA)で報告した。(v)また、ネットワークモデルを動学モデルに拡張するために論文を作成し、2018WEAI Conference(Canada)で報告した。 (vi)さらに、ネットワークモデルにおける国際金融公共財の役割を解明すべく、N国M財の公共財モデルの論文を作成し、2018日本経済学会秋季大会(東京)で報告した。また、分析対象を国債からREITに変更し、類似の分析を行い、その結果を論文として2018EAEA Conference(Taiwan)と2018SMU Conference(Singapore)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個別研究者のコメントや、学会報告でのコメントから、専門的知識の提供を受ける機会があり、これまで見落とされていた金融ネットワーク構造の外生的変化が研究に考慮されることで、推定結果の原因が解明され、研究内容の理解と今後の発展方向が定まった。このことから、おおむね、順調に研究が進んでいる。しかし、まだ、雑誌に採択された論文は数少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画に従い(i)平成30年度の不備を訂正して改良する。(ii)Cornes&Hartley(2007,JPET)やMiyakoshi (2014,2016, Applied Econ.)の集計ゲームタイプの公共財理論を使って、どの国が金融センターに金融公共財を提供してネットワークを維持・管理すべきかを明らかにする。すなわち各国のdropout-valueを推定し、その上位数カ国が金融公共財の提供国となる。従って、これらの国で金融公共財配置の国際会議が開かれるべきである。(iii)国際金融公共財の配置により、各国のリスクがある値に低下した時、ネットワーク全体の破綻確率がどの程度低下するかをシミレーションする。これにより、金融公共財の配置が政策手段となりうるかを考察する。(iv)実証編で金融センターをも考慮して推定されたネットワークにおいて、各金融センターでどの国の線(連結性)を遮断すると最も破綻確率が下がるのかを比較して、その国の線の遮断が金融センターにおける政策手段となりうるかを考察する。単にセンターを先験的に定め、2008年のリーマンショックの時にセンターと他の金融市場の連結性がどう変化したかを実証研究したLeon& Berndsen(2014,JofFS), Souza et al(2016,JEDC)との違いを明確にする。(v)これらの研究成果を論文として取りまとめ、日本金融学会(平成31年10月)、または、アメリカ西部経済学会(平成31年7月)などで報告する。(vi)平成29,30,31年度の研究成果を報告書として取りまとめる。
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Causes of Carryover |
新しいパソコンを購入しなかったことが、その主な理由である。パソコンの入れ替えには、古いパソコンの情報を移し替える必要があり、それにはかなり時間が必要である。そうした時間を作れなかった。情報を移し替えるための時間と人手を工面してパソコンを入れ替える予定である。
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