2018 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Life Insurance in Small Business Enterprise-Empirical Evidence on Finance Theory-
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17K03817
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅井 義裕 明治大学, 商学部, 専任准教授 (60433645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中小企業金融 / 生命保険 / 金融リテラシー / アンケート調査 / 損害保険 / 事業承継 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究テーマに沿って、下記の研究成果を発表した(浅井義裕 (2019) 「中小企業における小規模企業共済の利用の決定要因」『明大商学論叢』第101巻 2号 pp.137-145。浅井義裕 (2019) 「ERMに関する意識調査の概要報告-損害保険会社に勤務する人を対象にして-」『損害保険研究』 pp.93-116。浅井義裕 (2018) 「大学生の金融知識と金融教育の効果(金融知識別の分析結果)」『信金中金月報』2018年11月号 pp.45-61)。分析で明らかになってきたことをもとにして、今後実施する予定のアンケートでも、小規模企業共済や金融リテラシーについての調査を行う予定である。
また、予備的な位置づけの調査として、2018年12月から2019年1月にかけて、東京商工リサーチに委託し、事業承継を実施した全国の製造業、中小企業2000社を対象にしたアンケート調査を実施して(275社から回答を得た)、アンケート結果をまとめている(「中小企業の事業承継と生命保険・信託に関する実態調査-アンケート調査の集計結果-」明治大学商学部ディスカッションペーパー)。 アンケートの結果からは、中小企業が事業承継に備えて、生命保険などを購入していること、資金制約に直面して生命保険を解約している実態などが明らかになってきた。また、中小企業は法人税を払わなくてよくなるので、赤字を計上することを気にしないと指摘されることもあるが、現実には、銀行や取引先との関係から、赤字を計上することを回避したいと考えている企業が多いことも分かってきた。今後は、予備的な調査、本調査の結果を分析して、研究結果を報告していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究では、アンケート調査を実施するため、関連する項目(金融リテラシーなど)について分析を進めてきている。また、過去に実施した中小企業向けアンケートのデータを用いた、中小企業金融における保険需要の役割に関する論文が刊行される予定であるなど、中小企業金融における生命保険の役割を明らかにするための周辺状況が整いつつある。 さらに、2018年度は、「企業の事業承継に関する実態調査」という、アンケート調査を実施(回答企業275社)するなど、中小企業金融における生命保険の役割について、予備調査としてのアンケート調査を実施していて、2019年度のアンケート調査の精度を高めるように工夫している。 2018年度のアンケートでは、事業承継を実施した、製造業、中小企業2000社を対象にして、この中では、「貴社および回答者の概要について」、「事業承継について」、「生命保険について」、そして、「金融機関や会計事務所との取引について」について尋ねている。アンケートの結果、中小企業が、生命保険を購入していて、資金制約に直面した際に、どのような動機に基づいて、どのような生命保険を解約しているのかについても明らかになりつつある。つまり、アンケートの結果を集計し、その結果を得ることには成功している。一方で、アンケート結果を利用して、分析を進めるには至っていない。今後は、2019年度に実施するアンケートの分析だけではなく、2018年度に実施した事業承継に関するアンケート調査の結果も利用して、事業承継に向けて、資金の準備をしているかどうか、具体的医には生命保険の準備が、事業承継がうまくいく可能性を高めているかどうかを明らかにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度に実施した、「企業の事業承継に関する実態調査」を参考にしながら、「企業の保険リスクマネジメントに関する実態調査」というアンケート調査を実施する予定である。「企業の事業承継に関する実態調査」では、中小企業と生命保険に注目したが、「企業の保険リスクマネジメントに関する実態調査」では、研究課題である、中小企業金融と生命保険の利用について分析を進めると同時に、今後、既存の研究では明らかになっていない分野へと研究を展開させていくための項目も含めていく予定である。 引き続き調査する項目としては、社長の金融リテラシー、主な製品、国内シェア、取締役会の設置状況、企業による銀行の訪問、担当者と支店長の面会、小規模企業共済などである。一方で、新たに追加する項目として検討しているのは、経営者のリスク回避度、賠償責任保険、経理担当者の属性、コミットメントライン、個社の借入金利(年数、変動・固定金利など)の予定である。 本研究の主な課題は、中小企業金融における生命保険の解約が、資金制約とどのような関係にあるのかを明らかにしようと試みることにある。そこで、2019年度は、アンケート結果に基づき、資金制約の観点から、中小企業金融の生命保険の解約を分析していく。また、中小企業金融における生命保険(経営者の生命リスク)が、借入金利(信用リスク)の関係についての分析も試みる。 一方で、中小企業にも様々なタイプがあり、それらの資金調達・保険・リスク管理のあり方は一様ではないものと予想される。アンケート調査の結果に基づき、今後は、賠償責任など「モノ」を伴わないリスクの管理、損害保険会社からのアドバイスといったリスク(ロス)コントロールの有効性などの研究へとつなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度、2018年度は、予定していた学会報告などの費用が、勤務する大学の海外学会報告助成制度、学外の研究助成を得ることができたため、予定していた研究費の一部を節約することができた。 そこで、2018年度は、2018年12月から2019年1月にかけて、東京商工リサーチに委託し、事業承継を実施した全国の製造業、中小企業2000社を対象にしたアンケート調査を実施して(275社から回答を得た)、アンケート結果をまとめているが、これは、2019年度に実施する予定の、中小企業金融における生命保険の役割を明らかにしていくアンケート調査の、予備的な調査としての役割を持つ。 当初、2018年度中に予定していたアンケート調査を、本調査として、2019年度前半に実施することとなったため、その分が、次年度使用額として生じることとなった。
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Research Products
(5 results)