2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03828
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| Research Institution | Konan University |
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Principal Investigator |
中島 清貴 甲南大学, 経済学部, 教授 (00367939)
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2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 非伝統的金融政策 / VARモデル / ローンレベルデータ / リスクテイキング / 予期されたショック / 操作変数推定 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
非伝統的金融政策の効果を実測するための外生的要因の識別に関して2つの研究を行った．１つは，VARモデルでチョレスキー制約やサイン制約などの標準的な制約条件を課すことで導出された予測されないショック（unanticipated shock）を用いて非伝統的政策の効果を測定した場合，誤った政策効果が導かれる可能性があることを時系列分析の観点から厳密に示した．もう１つは予測されたショック（anticipated shock）として正確に識別された非伝統的金融政策の外性的要因としての時系列データと銀行企業間のローンレベルデータを組み合わせたデータセットを利用することで，非伝統的金融政策の貸出経路を特定化する研究を行った．これらの研究プロジェクトのうち前者の研究は，研究論文"Identifying Unconventional Monetary Policy Shocks" (柴本昌彦氏と高橋耕史氏との共著)として結実し，後者の研究は，"Risk-Taking Channel of Unconventional Monetary Policies in Bank Lending" (柴本昌彦氏と高橋耕史氏との共著)として結実した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非伝統的金融政策の外生的要因を識別するための研究論文"Identifying Unconventional Monetary Policy Shocks" (柴本昌彦氏と高橋耕史氏との共著)と"Risk-Taking Channel of Unconventional Monetary Policies in Bank Lending" (柴本昌彦氏と高橋耕史氏との共著)は，Econometric Society の North American Summer Meeting や Royal Economic Society の Annual Meeting といった非常に採択率の低い国際会議に採択されてきた実績がある．また，こうした国際会議での発表を通じて，FEDやBOEといった非伝統的金融政策を実施してきた先進国の中央銀行研究者もどのようにして非伝統的金融政策の外生的要因を識別すれば良いのか，という点で同じ問題に直面していることがわかり，我々の研究が解決の1つの道筋を与えうることも実感してきた．こうしたことから，研究の方向性は間違っていなかったと考えている．
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| Strategy for Future Research Activity |
上記のように，2つの研究論文を幾つかの名声のある国際会議にて発表してきたが，今年は，私が研究休暇にあるため，可能な限り国内外の学術会議やセミナーで論文を発表し，論文の価値を高めていくプロセスの中で論文を国際雑誌に投稿していく準備に充てたいと考えている．また，本論文で識別した非伝統的金融政策の外生的要因を用いて，非伝統的金融政策が銀行システムの安定性にどのような影響を与えたのか，という問題を銀行パネルデータを利用する中で実証分析していくことを企図している．
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| Causes of Carryover |
本年度は，採択された2つの国際会議（The European Meeting of the Econometric SocietyとThe Royal Economic Society Annual Meeting）で研究発表をするための旅費にのみ研究費を使用したことがその理由である．今年度以降は，旅費のみならず，論文の校正やデータの購入に多くの費用を充当する予定である．
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