2018 Fiscal Year Research-status Report
A nodal point in the formation process of Swedish welfare state: socialvårdskommitten and its historical role
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17K03831
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 俊時 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (70221760)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スウェーデン / 福祉国家 / 社会保障制度 / 児童福祉 / 救貧制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1937年に選任された政府調査委員会である社会福祉委員会が主導した社会福祉政策の体系化の試みの歴史的意義を、福祉供給主体の役割再編の動きとの関わらせて把握することを課題とする。本年度は、4つのモメント 1)社会保障制度の展開、2)地方自治体の福祉行政の発展、3)社会福祉委員会で展開された議論や活動の分析、4)以上を踏まえた上での社会福祉委員会の歴史的位置づけの検討のうち、計画に従い、2)と3)についての作業を中心に行った。 2)については、ストックホルムに滞在し、当初予定した国家救貧監督官関係の文書のみではなく、1952年の地方自治体改革実現の契機となった政府調査委員会である地方税調査委員会(Kommunalskatteberedningen)の文書も読んだ。さらにスウェーデン社会福祉協会(スウェーデン救貧連盟の後身)の機関誌にも眼を通すこととなった。 3)に関しては、社会福祉委員会での議論の歴史的脈絡をより明確にするため、ストックホルムに滞在し、国立文書館を訪れ、コミューン税調査委員会の他に人口問題調査委員会(Befolkningskommissionen)の文書も眼を通した。また、社会福祉委員会で批判的克服の対象となった1918年の救貧法の概要を、拙稿『スウェーデン救貧連盟とその諸活動に(4)』にまとめた。 なお、社会福祉委員会のスウェーデン福祉国家の成立過程における位置づけについての試論は、昨年11月12日にルンド大学で行われた日本・スウェーデン友好150周年記念シンポジウムで、「Why am I interested in Svenska fattigvardsforbundet? (Varfor ar jag intresserad av Svenska fattigvardsforbundet?)」と題して報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では、社会福祉委員会成立の経緯や地方自治体での社会福祉行政について論文にまとめる予定であったが、研究の進展に伴い、社会福祉委員会の活動を歴史的に位置づけるためには、当時同時進行していた様々な動きとの関連を把握する必要性を痛感するに至った。それゆえ、前年度の報告で言及した地方税調査委員会に加え、人口問題調査委員会、スウェーデン社会福祉協会の活動にも目配りをすることとなった。それゆえ、当初の見通しよりも多くの作業を行わざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
このように間口が広がってしまったが、社会福祉委員会の活動と地方自治体改革との関わり、社会扶助法の制定による救貧法の撤廃につながる動きに焦点を置き、社会福祉委員会における社会保障制度改革構想の全体像を把握する作業を進めていきたい。
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Research Products
(2 results)