2017 Fiscal Year Research-status Report
Work Experience and Literacy in Nineteenth Century England
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17K03838
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 千映 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (10388415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イギリス経済史 / 人的資本 / 識字率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、裁判所記録に残された記述を用いて、18世紀末から20世紀初頭におけるイングランドの労働者を対象に、彼らの識字能力と職業経験との関連性について考察する。用いる史料は、州および自治権を持つ都市(バラborought)における四季裁判所で作成されたCalendars of Prisonersと呼ばれる刑事被告人についての記録である。これと、職業情報を利用できる1841年以降の国勢調査の個票データをリンクし、職業と識字率の関係について明らかにする。 本研究では、炭田と金属加工業、製陶業を持つスタッフォードシャーと、綿業中心地であるランカシャー、農村手工業が衰退して農業州化したベッドフォードシャーの三地域比較を目指しているが、本年度はスタッフォードシャーのデータを用いた分析と、ランカシャーの資料整理を行った。 ランカシャーにおけるCalendarsは、1838年以降、識字情報が利用可能となっている。州都ランカスターのランカスター城監獄、行政上の中心地プレストンの矯正院、リバプール近郊のカークデイル矯正院、マンチェスター近郊サルフォードにあるニューベイリー監獄(1838年8月以降、識字情報が利用可能)の4か所のCalendarsが残っており、1838年から1860年までの史料を入手済みで、1838年から順にデジタル化を進めている。 また、スタッフォードシャーのデータからは、年齢を経るに従って緩やかに上昇し40歳前後をピークに下落を始めること、産業革命期を通じて人々の平均的な識字能力は悪化していること等を明らかにした。スタッフォードシャーについては論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ入力について、画像解析ソフトを用いた自動入力を考えていたが、一般的なソフトウェアでは対応が難しく、かなりのチューニングが必要であることがわかった。チューニングのためには想像以上に費用がかかることも判明し、手入力に頼らざるを得ない状況である。このため、データのデジタル化作業に遅れをきたしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で利用している史料は、手書き部分もあるものの、活字での印刷部分が多くを占めているため、歴史史料についての知識がなくても、ある程度、データの手入力ができる人材を確保するのはそれほど難しくないと思われる。今年度は、民間業者への入力委託も視野に、データベースの早期完成を図る。
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Causes of Carryover |
校務が重なったことから長期休暇中にイギリスに出張することができなかったため、当初予定していた出張旅費が大幅に少なくなった。また、史料のデジタル化について、コンピュータソフトによる自動入力を計画していたが、そちらへの支出も予想を超えて高額になったため、支出を控えた。
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Research Products
(3 results)