2018 Fiscal Year Research-status Report
Work Experience and Literacy in Nineteenth Century England
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17K03838
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 千映 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (10388415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イギリス経済史 / 生活水準 / 経済発展 / 人的資本蓄積 / 識字能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年9月に渡英し、Bedfordshire Archives and Record Services(BARS)とBerkshire Record Office(BRO)で、巡回裁判および四季裁判所関連の文書に、犯罪者の識字に関する記録が残されていないか確認した。一般的には、Calendars of Prisonersという名称で、四季裁判所の被告人の一覧が作成されるケースが多いが、BARSでは、Register of Prisoners in the County Gaol and House of Correctionという史料に、詳細な情報が残されていることが判明した。これまでにデータ化を済ませているスタッフォードシャーと対照的にベッドフォードシャーは農村州なため、比較可能な形でのデータ整理と分析を進めている。暫定的な結果は、2019年5月開催の社会経済史学会第88回大会で報告予定である。 BROにもCalendars of Prisonersが断片的に残されていたが、体系的な分析には耐えないと判断した。しかし、これまで不明であった識字能力の調査がなぜ行われたかについて、示唆を与えうる監獄付き牧師の報告書を発見した。この史料に依拠して、識字情報の性格についてより詳細な検討を行っている。 2019年3月の再度の渡英では、大英図書館で19世紀において識字能力の獲得がどのような意味を持ったか、社会の認識としてどのように捉えられていたか等、より一般的な情報の獲得に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スタッフォードシャーと比較しうるデータセットを入手した。デジタル化はすでに完了し、詳細なデータ分析のフェーズに移っている。また、犯罪記録における識字情報の妥当性、代表性についての議論が出来ずにいたが、これに関しても、一般的な情報ではあるもののヒントとなりうる史料を発見できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年5月に社会経済史学会全国大会で報告し、いただいた質問・コメントをもとに改訂を施して学術誌に投稿する。また、ランカシャーなどの工業州、ロンドン周辺で首都の影響の強い場所について史料渉猟を続ける。
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Causes of Carryover |
データ入力及び整理のために大学院生を一名雇用していたが、2018年9月からの留学が決まり後任のアルバイト学生を見つけられなかったので人件費が浮いたため。
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Research Products
(3 results)