2017 Fiscal Year Research-status Report
一次資料に基づく世襲財産制の実証研究ープロイセン・ザクセン・南ドイツの比較地域史
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17K03842
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 房雄 広島大学, 社会科学研究科, 名誉教授 (90104869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 世襲財産 / 信託遺贈 / ドイツ語圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
「一次資料に基づく世襲財産制の実証研究―プロイセン・ザクセン・南ドイツの比較地域史」に関する平成29年度の研究経過と成果は、次のとおりである。本課題の本格的な検討に進むための準備作業として、世襲財産問題に関する今までの研究成果を、プロイセン史に即して整理するドイツ語単著の一書にまとめて、考察の枠組み全体の基礎を提示した。比較を試みるための基準を得る必要上、ドイツ世襲財産制の基礎研究の一環として、その重要性が自明なプロイセンに注目することは、単なる参照系というよりもむしろ、本研究の出発点に位置づけられるべき積極的な意味を持つからである。 さらに、「ベルリン図書館」と「ドレスデン図書館」において、ザクセンやヴュルテンベルク等のドイツ諸邦のみならず、スイスとオーストリアを含む「ドイツ語圏」諸地域のフィデイコミスに関する文献検索を行うとともに、視野をハンガリーにまで拡大して、ハンガリー世襲財産問題の重要性を認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のとおり、プロイセン世襲財産問題に関する単著をドイツで出版するとともに、ハンガリー世襲財産すなわち「父祖財産相続制=アヴィティツィテート」(Aviticitaet)をめぐる歴史問題の論考を執筆した。さらに、ドイツ語圏のスイスについても、ルツェルンに注目した草稿を用意して、研究は、当初の計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究目的としては、前年度同様、重要文献の閲覧と収集(図書館調査)、ならびに、未公刊一次資料の探索と精読(文書館調査)の二本柱を中心とするが、今年度以降は、昨年出版した単著に対して寄せられたドイツ人専門研究者からの様々なコメントを、レビュー同様に受け止めて活用しながら、次年度以降の継続課題を一年ずつ先取りするペースを推進方策として研究を進める。
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