2018 Fiscal Year Research-status Report
国際金融センター・ロンドンの再生と現代的特徴の起源-「第一次大戦期」の再検討
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17K03844
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 大介 山口大学, 経済学部, 教授 (50345857)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イギリス大手銀行 / 第一次大戦 / 国際業務 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は年度前半に、昨年度実施できなかったイギリス大手銀行等アーカイブでの史料調査を行い、後半にその整理・分析につとめた。本年度調査の対象としたのは、20世紀初頭に「外国部」を設けた大手3銀行のうち、ロイズ銀行及びミッドランド銀行の継承銀行アーカイブである。史料調査は、昨年度の報告書で示した本研究の目的を念頭に、1.「第一次大戦期」(1913-1919年:開戦直前から終戦直後)における大手銀行の国際業務に関する領域、並びに2.国際業務担当人材を含む銀行人事制度への第一次大戦の影響に関する領域について行った。今年度収集した史料は合計で2000~3000枚に上り、現在も分析の途上である。このため、その内容の公表は現段階では差し控えるが、今回の調査では、戦時中におけるロイズ銀行「外国部」の融資実行・人事関係史料、及びミッドランド銀行のコルレス先預金に関する史料等、研究目的解明に繋がる多数の有益な史料を入手することができた。その中には研究史上極めて重要となる、次のような史料も含まれる。 それは、これまで存在が確認されなかったミッドランド銀行「外国部」(主にポンド建て以外を取り扱う外国為替部)と「外国銀行部」(主にポンド建てでコルレス銀行先との取引を扱う支店)の貸借対照表及び損益計算書である。これらの分析により、両部の預金額を含む負債構成、資産・収益構成が明らかになり、当時イギリス最大手であった同行の国際業務の全体像が研究史上はじめて数値的に可視化されうる。もっとも本研究が対象とする期間は原則「第一次大戦期」であるため、今回は同時期の調査にほぼ限定したが、同史料は1911年より約半世紀分存在する可能性が高いため、来年度の調査では射程を広げ、その全体を収集・分析し、改めてイギリス大手銀行の国際業務における「第一次大戦期」の位置づけを明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定以上の関係史料が見つかり、その整理・分析に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書提出段階では、1つのテーマごとにおおよそ2年をかけ、最終年度に2つのテーマを統合し、成果報告を出す予定であったが、昨年度述べた事情により初年度、史料調査ができなかったことと、本年度、想定以上の分量の重要史料が発見されたことを踏まえ、計画を変更し、来年度までは、本年度に引き続き2つのテーマに関する史料調査・分析を同時並行的に行い、史料収集・整理分析に一定の目途を付ける。その上で残余2年間において、必要にとなる史料の補足調査を行いつつ、研究成果のとりまとめを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は、昨年度実施できなかったイギリスでの史料調査と、当初の計画通り本年度実施すべき同地での調査と2回行う予定であったが、勤務校での職務状況により、本年度はやや長期間の調査を1回実施するに止まった。このため今年度も若干の残余が生じた。今年度の残余繰越金は、次年度の予算と合わせて、1.今年度同様、次年度も実施する、当初の予定よりもやや長期のイギリスでの史料調査(海外出張)、並びに2.相手方の事情(長期海外出張)で今年度コンタクトを取ることが難しかった研究協力者との打ち合わせ(国内出張費用)等に充てたい。
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