2020 Fiscal Year Research-status Report
国際金融センター・ロンドンの再生と現代的特徴の起源-「第一次大戦期」の再検討
Project/Area Number |
17K03844
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 大介 山口大学, 大学院東アジア研究科, 教授 (50345857)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 第一次大戦 / イギリス大手銀行 / 国際業務 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナウイルス感染症の影響により海外調査が行えなかったため、昨年度まで(2018-2019年度)の調査において収集した約4000-5000枚の史料を、本研究の主要テーマである1.大手銀行「外国部」の国際業務展開、並びに2.国際業務を担当する人材の確保・育成毎に改めて整理し、昨年度の本報告書(今後の研究推進方針)で示した通り、既に入手した史料を基に、1.の大手銀行(ミッドランド銀行・ウエストミンスター銀行・ロイズ銀行)「外国部」の活動実態に関する分析を優先的に行い、研究成果の一部取りまとめに向けて尽力した。 本年度は、特に同部の「収益」と「預金」に注目し、検証を行った。各項目の具体的内容については今後、学会報告・論文発表において紹介する予定であるが(一部の内容は本年度に発表した論文において紹介)、一例を示すと、「収益」については、第一次大戦前から第二次大戦直前(1910年前後から1937年頃)の分析を行い、第一次大戦期を転機とする大手銀行3行に共通する時系列的特徴を発見した。「預金」については、第一次大戦後半期における同部当座預金の急増と同預金に対する高率の利息支払いを発見し(ミッドランド銀行)、戦時中のイングランド銀行「特別預金」との関連性を念頭に置きながら、その背景と意義について検証した。また、大戦後半期における同部先方勘定の推移とその内訳(同盟国・中立国)についての分析を行った(ウエストミンスター銀行)。 現在は、上記に紹介した内容以外の項目(「資産」運用等)を含め、「第一次大戦期」(とその前後)における「外国部」の活動実態とその歴史的意義を総合的に検証・考察した論文のとりまとめに向けて、鋭意作業を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
手書き史料を含めた4000-5000枚に上る収集史料の整理・解読・分析に想定以上に時間を要しているためと、昨今の感染症問題の影響により、海外史料調査を中断しているため(バークレーズ銀行の調査をまだ全く手がけられていない)。
|
Strategy for Future Research Activity |
必要な海外調査については、感染症問題が落ち着いた段階で速やかに実施したい。また、現在までに収集した史料の整理・分析を速やかに進め、今年度(2021年度)中に「外国部」の活動に関する研究成果をとりまとめたい。また、研究計画立案時点で予見されなかった事態を踏まえ、本研究を1年間延長し、本研究のもう一つの重要テーマである国際業務を担当する人材の確保・育成に関する研究のとりまとめを目指したい。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症により、予定していた海外調査・国内研究協力者等との打ち合わせ出張が全て中止となったため。感染症問題が落ち着いた段階で、予定項目を速やかに実行し、予算を執行する。
|