2019 Fiscal Year Research-status Report
早期工業化と非登録徒弟―世帯解体の比較地域史との関連でー
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17K03850
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
米山 秀 首都大学東京, 経営学研究科, 客員教授 (80158542)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ギルド / 徒弟 / 独占 / エクセタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では基本的に都市史の枠組みで研究を進めてきた。日本史との比較に基づいて、わが国でも古くからある見解すなわちイギリスのギルドが近世に解体したとする見解は実証的に支持できないことを明らかにするとともに、18世紀には農村工業などとの競争で排他化していくドイツなどヨーロッパ大陸のギルドとは異なり18世紀にはイギリスのギルド自体は解体せずに、むしろ職業訓練団体していったことをイングランド西部の都市に関して実証的に明らかにした。そのことを通じ、グローバルヒストリで言われる小分岐論の枠組みと接続する方法を示すと同時に従来研究していた家族史とも接点を見出すことになった。すなわち、ドイツではギルドの排他化手段として実子徒弟の優先という直系家族原理が見られるのに対して、イギリスでは実子を優先しない絶対核家族原理に基づく制度が見られたからである。次の研究ではさらにこの点に焦点を当て実証的に進めていきたい。 具体的には以下のような主な成果を得た。(いずれも査読付き) 米山秀[2019]エクセタ縮絨工ギルドの衰退のメカニズム――最近の二つの論争との関連でーー『比較都市史研究』第37巻第1,2号。31-47頁。 Yoneyama,M.[2019]The decline of guilds and their monopoly in English provincial towns,with particular reference to Exeter,Urban History.Vol.46:isuue3 ps443-463.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画全体の遅延の原因となってきた、海外学術雑誌への投稿論文は、最終的に昨夏公刊され一段落したが、その日本語での紹介などに時間がかかり少し予定をオーバーしてしまったが、間もなく計画を終える見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次回の申請研究のように、最近進めて来ている都市史の枠組みとそれ以前の家族史の枠組みを融合しさらにグローバルな視点を加え研究を進めていくことにしたい。
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Causes of Carryover |
イギリス以外との比較を試みたため史料等の入手が遅れていたが、現在既に発注済みであり、早晩遅延は取り戻せるものと考える。
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