2019 Fiscal Year Research-status Report
米国における銀行破綻処理手法の発展に果たした州法預金保険制度の歴史的意義
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17K03851
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
黒羽 雅子 山梨県立大学, 国際政策学部, 教授 (50330733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 米国州法預金保険制度 / ネブラスカ州 / 州法預金保険制度の破綻 / 州法銀行の破綻処理 / ネブラスカ銀行家協会 / アメリカ銀行家協会 / 米国郵便貯金制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本来であれば、研究最終年度に当たるため、全体を総括する研究成果を仕上げる予定であった。しかし、体調不良により研究の進捗が芳しくなく、研究全体の最後の確認のための夏期海外調査も実施できず、総括するべき研究成果を令和2年度に繰り延べることとした。そのため、投稿論文が間に合わず、やむなくワーキングペーパーを取りまとめた実績報告書の作成をもってこれに代えることとした。実際の研究としては、以下の内容を実施した。 ① ネブラスカ州における1920~30年代破綻銀行に係るネブラスカ州と連邦準備制度による個別銀行資料へのアンケート調査原票(個票331件)の内容を一覧形式のデータベース化し、分析可能なものとする作業を終了した。これにより、ネブラスカ州法預金保険制度(ネブラスカ預金者補償基金)下の当該期における破綻銀行の実態を破綻銀行の側の見方としてとらえるとともに、ネブラスカ州銀行局の個別破綻処理資料(清算及び再建報告書と当局その他関係者の書簡、当該銀行による債権回収資料など)とのより詳細な比較が可能となった。ただ、これらの資料の多くには欠落部分が随所に存在し、これを補足するための再度の資料調査が必要となった。そのため、論文を完成させることができず、ワーキングペーペーを作成するにとどまった。 ② ネブラスカ州における破綻処理手法を再度とりまとめ、破綻処理形態ごとの個別銀行資料の読み込みを行いこれについてもワーキングペーパーを作成した。 ③ 上記2件の研究過程で当該地域の銀行家協会(ネブラスカ銀行家協会と7つの地区銀行家協会)の銀行行政に対する働きかけや内部の議論について調査する必要が生じ、「米国郵便貯金制度の導入と銀行家協会の対応」と題して、2019年8月30日地方金融史研究会において研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成31・令和元年度は、本来は本研究事業の最終年度であったが、体調不良その他の事情が加わり、研究に集中することができず、令和元年秋ごろに計画変更し、本研究事業の完成を次年度まで延長することとした。とくに、研究の完成に必要な海外調査が実施できず、助成金の大部分を次年度に繰り越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究の最終年度である。本年夏には海外調査を実施し、研究に使用してきた資料の最終確認をするとともに、州法預金保険制度の破綻処理手法が連邦預金保険制度の当初の破綻処理手法の基礎となったこと、そして前者の破綻処理に関する考え方が後者のそれにどのように反映していったのかを明らかにする研究を完成させる。 上記の研究を進めるため、以下の具体的な実施方針により本研究を完了することとした。 ① 令和2年4~7月は引き続き収集済み資料の読み込みを行うが、州ごとに解題をつけ、「米国破綻州法銀行整理関係資料データベース」として本学機関リポジトリでの公開を申請するとともに、研究全体を総合する論文の執筆を継続する。執筆過程では各章ごとの論説を個別にまとめ、学会・研究会などで報告をする。② さらに、内容を詰め、夏期(8月)には米国への資料調査を実施し、上記資料の欠落を補う資料を調査し、論文を進捗させる(実施が困難な場合に備え、研究協力者であるネブラスカ大学大学院教授に資料調査の一部を依頼する)③ 10 月以降、論文の執筆に集中し、本学紀要ないし学会誌等への投稿を準備する。研究の途中経過は、学会の部会ないし研究会等で報告する(それらの開催が困難な場合は、ワーキングペーパー等の形で発表する)④ 年度末までに最終年度のまとめとして、研究報告書を取りまとめ、機関リポジトリ等に発表するとともにこれを編集し、論文にして学会誌等に投稿する。
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Causes of Carryover |
体調不良のため、本年度実施を計画していた研究調査等を中断せざるを得なかったため、それらを引き続き遂行する必要が生じ、本研究事業の延長を申し込んだ。 それに伴い、海外調査および論文の執筆発表に付随する費用に支弁するため、昨年度の残額を当てることとした。 具体的には①海外調査に関係する(渡航費等、資料調査に係る現地交通費及び雑費)、②論文作成のための情報収集のための費用(オンラインデータベースの契約料、書籍購入費用、学会党参加費用、文具等消耗品、情報機器の修繕費等)への支弁を予定している。ただし、夏期の海外調査が困難な場合は、オンライン申し込みやオンラインでのインタビュー等で可能な限り補うこととするため、費用は縮減されることもある。
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