2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03853
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
村越 一哲 駿河台大学, メディア情報学部, 教授 (80265438)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計量体格史 / 歴史人口学 / 健康史 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続いて、(1)児童期の体位に関する仮説として提示された「親が自営業者(農業)>都市の自営業者(商工業)>都市の俸給生活者の順で児童の体位とくに身長の発育に差が生じていた」かについて検証するための作業を行った。そこでは、まず収集した学籍簿(佐賀県1校)に記載された体位ならびに児童と保護者との関係のわかるデータをテキスト化する作業を行った。 次に、(2)青年期の体位に関する仮説のうち、「栄養摂取をコントロールしたとき、栄養 消費を増加させ、体位成長に負の影響を与えたものは、乳幼児期の栄養状態・児童期の家事・家業の手伝いとともに 、義務教育修了(小学校第6学年)以降に就いた仕事での労働負担の大きさである。なぜなら小学校尋常科卒業 あるいは高等科卒業を契機として、多くの人々は就職したのであり、当該時期は体位の成長に大きな影響を与える第二次性徴期であったからである」という内容の検証のために、本年度も壮丁名簿を収集した。そして、富山県、長野県、埼玉県それぞれの県の村の壮丁名簿に記載された体位ならびに職業や学歴データをテキストデータ化にする作業を行った。 これらの作業の実施によって、データセットが完成した富山県の農村の壮丁名簿を本年度は分析した。本人の就学年数をコントロールしたとき、栄養摂取量の代理変数と想定できる戸主の支払った「直接国税」が身長にプラスに作用し、栄養消費量の代理変数と想定される本人の職業のうち「商工者」であることが身長にマイナスに作用したという分析結果を得た。職業による差異が確認できた。 あわせて、個票ベースの分析結果の持つ意味を全国的な変化という文脈のなかで検討するために、明治期から昭和戦前期における身長発育の過程についても検討した。そこでは成人男子の身長の伸びを説明する発育量は、小学校中学年、同低学年、幼児期、乳児期の順で、増加したことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学籍簿および壮丁名簿の項目のなかには草書体で記述されている箇所が多く、入力の前に読解という作業が加わったことから、データのテキスト化作業に、想定されていたよりも多くの時間がかかってしまったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
できるだけ早く、資料とした壮丁名簿等に記載されているデータのテキスト化を終え、分析を進めたい。
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Causes of Carryover |
個票データの解読に時間がかかり、データのテキスト化のための入力作業か遅れたため。
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