2017 Fiscal Year Research-status Report

Bankers, Missionaries and Collegiate Business Education in Modern China

Research Project

Project/Area Number	17K03857
Research Institution	Seijo University
Principal Investigator	林幸司成城大学, 経済学部, 准教授 (30612775)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	高等商業教育 / 宣教ミッション / 銀行家 / 経済制度
Outline of Annual Research Achievements	19世紀後半以降、アジアでは欧米諸国を中心とする帝国主義体制のもと、これを裏付ける様々な仕組み（教育・経済制度など）が、英米系プロテスタント宣教ミッションの活動とともに広がりを見せていた。同時期、中国の伝統的金融業の拠点であった上海では、近代株式銀行が大きな成長をとげた。その背景には、アメリカ高等商業教育を背景として養成された中国人「銀行家」の活躍があった。そしてこうした流れは、長江などの河川を利用した交易を通じて、内陸部へと広がっていくこととなる。本研究は、近代中国における銀行家の誕生と、沿岸部から内陸部へと至る経済制度の転換過程を、銀行業界・宣教ミッション・高等商業教育の相互作用の視点から検討することを目的とする。本研究では、以上の問題意識のもと、（1）アメリカ系宣教ミッションと高等商業教育、（2）内陸都市重慶における銀行家と地方市場メカニズム構築、（3）銀行家の国際的人脈形成、という三つのテーマを設定して、研究を進めていく。このうち本年度は、当初の研究実施計画を一部変更し、主として上記テーマ（1）および（2）について、研究を進めた。まず、（1）については、20世紀初頭の中国において、アメリカの影響下で設立された学会に関する一連の資料を購入し、分析を進めた。これに関しては、現在学術論文の形で公表を準備しているところである。また（2）については、銀行家と地方市場の整備について、とくに手形交換所と銀行業の同業者組織に注目しつつ資料収集および整理を進め、複数の学術論文を発表した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 本年度は、当初の研究実施計画を一部変更し、主として（1）アメリカ系宣教ミッションのアジア展開と高等商業教育、（2）内陸都市重慶における銀行家と地方市場メカニズム構築、という二つのテーマについて、研究を進めた。このうち（1）については、20世紀初頭の中国において、アメリカの影響下で設立された学会に関する一連の資料を購入して分析を進め、現在学術論文の形で公表を準備しているところである。また（2）については、銀行家と地方市場の整備について、とりわけ手形交換システムと銀行業の同業者組織に注目しつつ研究をすすめ、複数の学術論文を発表した。以上の経緯から、本研究の実施計画全体から見て、研究はおおむね順調に進展している。
Strategy for Future Research Activity	本研究のさらなる深化のため、今後日本、中国及びアメリカにおける資料調査を実施する。また、研究成果を広く公表するため、アメリカ等で開催される国際学会において、報告を予定している。
Causes of Carryover	本年度は、研究実施計画を一部変更し、旅費の支出を関連資料の購入へ振り分けたため、次年度使用額が発生した。次年度においては、繰り越された金額を旅費等に充当する計画である。