2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Deterioration Process of the British-centered Multilateral Payment System in the Inter-war Years
Project/Area Number |
17K03864
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 純 東北学院大学, 経済学部, 教授 (30413719)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イギリス / 多角的貿易システム / 金融利害 / 二国間貿易 / 通商政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
両大戦間期における多角的貿易システムの解体過程に関する研究成果を全国大会において発表すると同時に論文にまとめることができた。併せて、イギリスを基軸とする多角的貿易システムに関する古典的著作の翻訳も出版することができた。具体的には以下の通りである。 2020年1月、政治経済学・経済史学会(於:早稲田大学)において「1930年代イギリス二国間通商政策の展開と多角的貿易システムの解体」というタイトルで発表を行った。1930年代のイギリス通商政策については、同国の工業利害に規定された輸出促進策とする解釈が通説としての地位を占めている。本報告は、金融利害に規定された輸入促進策とする新解釈を提示したため、幾人かの研究者から批判的コメントを受けた。一方で、貴重なアドバイスも受けることができ、この成果をもとに論文を執筆した。 2020年3月、論文「1930年代におけるイギリス二国間通商政策の展開-多角的貿易システムとの関連で-」(東北学院大学経済学論集、第193号)を発表した。この論文では、両大戦間期におけるイギリスを基軸とする多角的貿易システムの解体過程について、金融利害の観点から明らかにした。 2020年3月、国際連盟経済情報局(佐藤純訳)『世界貿易のネットワーク』(創成社)を出版した。この著書はイギリスを基軸とする多角的貿易システムの形成過程、構造と特質、及び解体過程について概説した古典的著書である。イギリスを基軸とする多角的貿易システムの研究において必読の書となる本書の訳を出版することで、自身の研究を深化させると同時に、本研究の内容を普及させることもできた。 以上のように、本年度は学会発表1件、研究論文1本、そして、翻訳書1冊という十分な研究成果をあげることができた。また、これらの成果をもとに単著を出版する目途も立った。
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