2017 Fiscal Year Research-status Report
The Board Meetings and the Role of Non-Executive Directors at Japanese Companies
Project/Area Number |
17K03868
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
江川 雅子 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (60786573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 取締役会 / 社外取締役 / コーポレートガバナンス / 監督 / 助言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は社外取締役が企業価値を高めるプロセスを解明するために、取締役会の運営と社外取締役の実効性の関係に焦点を当てる。具体的には、(1)取締役会の運営の実態、(2)社外取締役の役割、(3)取締役会の機能を高めるためにどのような運営が効果があるか、を明らかにする。 取締役会の運営に関する調査(運営状況調査)を13社(鹿島、武田薬品工業、資生堂、JXTGホールディングス、ブリヂストン、旭硝子、日立製作所、三菱重工、三菱商事、東京海上ホールディングス、三井不動産、東日本旅客鉄道、ANAホールディングス)に依頼し、平成29年4月から平成30年3月までの1年間に開催された取締役会についてのデータを集めた。データの内容は、取締役会の議題数、議題の種類(審議と報告の別、法定と任意の別)、資料の頁数、所要時間(説明と審議に分けて測定)、説明における発言回数(社内取締役、社内役員、社外などに分類)、審議における発言回数(社内取締役、社外取締役、社内監査役、社外監査役などに分類)、議案の内容(決算、人事・組織・報酬、経営方針・経営計画、個別事業・機能別戦略、設備投資、M&Aおよび新規事業、売却・撤退・減損、制度規則、株式・株主関連、コーポレート・ガバナンス、ファイナンスなど18項目に分類)である。今後、これらのデータの集計・分析を行う予定である。 これと並行して、社外取締役の役割に関する国内外の先行研究のレビュー、参考になりそうな研究についての調査を進めた。平成30年1月に米国のハーバード・ビジネス・スクールを訪問し、Jay Lorsch, Lynn Paine, Suraj Srinivasan 教授らと面談し、本研究について説明し、助言を求めると同時に、米国企業の取締役会に関する調査、社外取締役へのインタビュー調査などについて意見交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
取締役会の運営に関する調査(運営状況調査)について、業種、制度設計(監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社)、会社の形態(持株会社か否か)に配慮して13社を選んで依頼し、協力を得ることができた。1年間の取締役会に関するデータがほぼすべて集まったので、平成30年12月を目途として分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
取締役会の運営に関する調査(運営状況調査)の集計・分析を進め、13社の取締役会で何に関してどのような議論が行われているかを解明する。 並行して、社外取締役の役割を明らかにするインタビュー調査の準備を始める。先行研究の調査手法を研究し、日本企業の社外取締役、社長を対象としたインタビュー調査に着手する。米国企業の社外取締役を対象としたインタビュー調査については、ハーバード・ビジネス・スクールの研究者の助言を得ながら検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、米国への出張の際、コストセービングにより当初の予定よりも旅費が少なくなった。 次年度は、インタビュー調査のための旅費、取締役会運営調査結果の分析の謝金などに使用する予定である。
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