2020 Fiscal Year Research-status Report
The Board Meetings and the Role of Non-Executive Directors at Japanese Companies
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17K03868
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
江川 雅子 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任教授 (60786573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 独立取締役 / 社外取締役 / コーポレートガバナンス / 取締役会 / 実効性 / 監督 / 助言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社外取締役が企業価値を高めるプロセスを解明するために、取締役会の運営と社外取締役の実効性の関係に焦点を当てる。第一段階の取締役会運営状況調査では、東証一部上場企業13社の協力を得て、平成29年度の取締役会のデータに基づく分析を行い、社外取締役の増員により取締役会が活性化し、実効性が高まったことを示した。分析結果は『旬刊 商事法務』、日本ファイナンス学会、及びInternational Corporate Governance Society (ICGS)などを通じて発表した。
第二段階のインタビュー調査では、第一段階の協力企業のうち10社の協力を得て、平成31年2月~令和元年11月に、社外取締役13名及び経営者7名へのインタビューを行った。更に、令和元年夏に米国企業の社外取締役12名のインタビューも行った(対面及び電話・スカイプ利用)。インタビューでは第一段階の調査結果と整合的な結果が得られたばかりでなく、社外取締役の具体的貢献や実効性を高めるための方策などについて貴重な知見を得ることができた。また、米国の取締役会や社外取締役の活動についても理解を深めることができた。
インタビュー調査結果について、令和2年11月15日、ICGS(米国オールド・ドミニオン大学、オンライン開催)で研究発表を行い、論文は『証券アナリストジャーナル』に掲載された。また、取締役会運営状況調査とインタビュー調査から得られた知見に関して、『日本経済新聞(経済教室)』に論文を寄稿した。更に、経済産業省主催の研修プログラム(WIL)、Women Corporate Directors 東京支部、Japan Society of Northern California (オンライン)などで、実務家対象の講演を行い、令和3年2月26日の「日経モーニングプラスFT](BSテレビ東京)でも説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画した2段階の調査は令和元年中に終了し、意義のあるデータ・情報を入手することができた。しかし、インタビューは先方の都合もあり、想定よりも長く時間がかかって論文執筆が間に合わなかったため、令和2年度までの延長を申請した。令和2年度は、International Corporate Governance Society (ICGS)での研究発表、『証券アナリストジャーナル」への論文寄稿、実務家向けの講演もいくつか行うなど、研究成果の公表に一定の進捗はあった。しかし、コロナ感染拡大の影響で、発表の機会がキャンセルとなったケースもあった。論文執筆や講演など更なる成果の発表のために、もう1年の延長を申請する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に予定されているコーポレートガバナンス・コード改訂では、社外取締役の役割が更に重視される方向である。具体的には、プライム市場上場企業には、3分の1以上の独立社外取締役の選任、独立社外取締役が過半数を占める指名委員会・報酬委員会の設置が慫慂されている。このような動向を踏まえて、取締役会運営状況調査、インタビュー調査から得られた結果に基づいて、更なる考察・分析を行い、論文執筆や講演を通じた成果の発表を行う予定である。現在、『企業会計』(8月号)に寄稿する論文を執筆中であり、実務家向けの発信としてハーバード・ビジネス・スクール同窓会でのパネル登壇、公益社団法人会社役員育成機構の研修プログラムの準備などを進めている。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響で、2020年11月米国で開催が予定されていた学会がオンライン開催となり、旅費の支出がなくなった。今年度も海外渡航ができない場合、オンラインによる発信をより効果的に行うためのIT機器の購入や、更なる考察のための書籍購入などに充てる予定である。
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Research Products
(3 results)