2017 Fiscal Year Research-status Report
Searching organizational interface for coexistence of environment and economy
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17K03870
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木全 晃 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10448350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 宏昭 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (80335835)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 組織アイデンティティ / 組織文化 / Porter仮説 / 環境と経済 / 地理的分散化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の企業にとって地球環境問題が重要課題の一つとの認識は共有されているとしても,個々の企業の環境保全の動機は様々であり,具現化された活動も多様なレヴェルにある.理由の一つは,環境と経済の両立を促進する組織内要因の相互作用の解明が未発達であることが大きい.こうした問題意識から我々は,これまで実施してきた環境と経済の両立のメカニズムに関する調査・研究を踏まえ,組織文化および組織アイデンティティの概念を中核に据え,これら目に見えないインターフェイスを通じて総合的に組織内外の因果関係を探求する研究計画を示した. 初年度となる平成29年度は,①分析のための仮説等の構築,②フレームワークと質問紙票の設計,③データ解析ソフトの習熟,という3つの課題を当初掲げた.①および②については最新の先行研究を収集・精査するなどし,分析枠組みを検討した.なかでも本研究の中核概念である組織アイデンティティについては,組織文化や組織イメージとの相互作用,SensegivingおよびSensemakingの連鎖により立ち上がるモデル等を検討し,本研究の基本枠組みを構築した.③については既往データを用い,解析の習熟を進めた.しかしながら②について,後述するように物理的な課題が生じたことから中断することとなった.一方で,平成30年度以降に計画していたデータ収集やインタビュー調査,ディスコース分析等を前倒しで実施することができた(先進事例として,バイオベンチャー2社, IT企業1社).そこでは組織の成長段階を加味しつつ,組織アイデンティティの形成プロセスを考察・分析している.さらに成果のアウトプットも前倒しで行うことができた.これは,海外ジャーナルへの投稿・掲載(1件,査読有),国際会議プロシーディングへの投稿・掲載(1件,査読有),国際会議での発表(2件,うち1件審査有),国内学会発表(3件)などであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初本研究は,四国地域の製造業1500社を対象とし,5年余り前に我々が行った質問紙票調査との経年比較を構想するものであった.しかしながら平成29年度に研究分担者が四国以外の研究機関に異動(平成28年度に研究代表者は既に異動)したため,四国地域で調査を実施する意義が薄れるとともに,事後インタビューを効率的に実施することが物理的に困難となり,また他地域の研究機関からの四国地域の製造業への質問紙票調査依頼は回収率が低下するなどのリスクも含むことも推察された.この不測の状況について研究代表者と分担者が検討した結果,①四国地域の製造業への質問紙票調査を見合わせること,②代替として過去に我々が実施・回収したデータストック(四国地域のサービス業サンプル)をもとにPorter仮説の定量的分析を行い,異業種間比較へと修正することで合意した.前述のとおり平成30年度以降に計画していたインタビュー調査や成果の公表が前倒しで行うことができたものの,当初計画からすると「やや遅れている」という評価とした. 一連の議論のなかで,これまで我々は主に日本企業の環境と経済の両立に目を向けてきたが,グローバルにみると特に欧州での環境規制は厳しいレヴェルにあり(例えば自動車業界でのユーロ5,6などの規制施行),Porter仮説で言うところの外部環境からの企業への圧力の程度は日本と異なることが予想され,日本と欧州の製造業の文化次元の比較も重要な課題であることが浮かび上がった.本研究が研究期間内により高い成果を上げるうえで,欧州の研究者との国際共同研究の可能性を模索することで一致した.方向性としては,本研究が定性的調査の柱として平成30年度以降に掲げている先進企業へのインタビュー調査および言説分析の実施を,日本と欧州の製造業(あるいは日本企業とその欧州現地法人)の文化次元の比較に拡張する,というものである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の本研究は当初の方針どおり定量的,定性的アウトプットをもとに組織の文化次元を中核に据えて環境と経済の両立の因果関係を考察することに変更はないが,前述のとおり具体的な対象の修正を行いながら,以下の3つの点について推進する.①我々が既に実施・回収した四国地域のサービス業サンプル(約500社)を用い,Porter仮説に沿って組織内の文化次元の定量的分析を行うこと,②環境と経済の両立における先進企業へのインタビュー調査を実施すること,③言説分析の手法の精緻化と言説の解釈を本研究のフレームワークに沿って行うこと,である. ①については多変量解析等の手法を用い,かつて我々が実施した製造業のサンプルとの比較分析も想定しながら,その結果を国内外のジャーナルへ投稿する.また②については,特に欧州での環境規制は厳しいレヴェルにあり(例えば自動車業界でのユーロ5,6などの規制施行),Porter仮説で言うところの外部環境からの企業への圧力の程度は日本と異なることが推察されることを踏まえ,日本と欧州の製造業(あるいは日本の製造企業とその欧州現地法人)の文化次元の比較調査を実施する.ただし,異国間比較をより効果的かつ効率的に行うには,欧州の研究者との国際共同研究を推進する必要がある.そこで平成29年度に共同研究の協力依頼を各方面に打診したところ,最終的に英国Cardiff大学ビジネススクールのRick Delbridge教授および Jonathan Morris教授から承諾を得ることができた.同時に本研究代表者をAcademic Visitorとして同ビジネススクールが受け入れ,共同研究を進めることも両教授から了承された.このことから,平成30年度は本研究を国際比較研究に発展させ,日英の製造業の環境と経済の両立について組織の文化次元を中心にインタビュー調査を進める計画とした.
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Causes of Carryover |
当初予測した年度末の旅費がわずかに下回ったため.次年度の旅費に充当する.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Discourses of “Black Companies” in Japan2017
Author(s)
Masayasu Takahashi, Akira Kimata, Naoki Teramoto, Shinichi Ito, Tokiko Nakamura
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Journal Title
Proceedings of the International Research Conference on Management and Finance 2017 / University of Colombo
Volume: 12
Pages: 92, 104
Peer Reviewed
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