2017 Fiscal Year Research-status Report
Overcome Inhibit Factor of "Learning From Failure" in Japanese Manufacuturing Ower Companies
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17K03872
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
永吉 実武 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80620616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 潤 芝浦工業大学, 工学マネジメント研究科, 教授 (80532994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組織的な失敗からの学び / 組織文化の可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
経営パフォーマンスの向上に向けた組織的な「失敗からの学び」の成功のために、日本企業の経営者はどのような仕掛けを構築すればよいかを明らかにすることが目的である。このために、日本企業4社のインタビュー調査を行い、うち3社については従業員に対して、組織的な「失敗からの学び」に関する意識調査を行った。また、組織的な「失敗からの学び」の成否には、背後にある組織文化が影響を与えているとの仮説に基づき、組織文化の可視化手法を開発し、3社にて実験を行った。 組織的な「失敗からの学び」に関する意識調査に関しては、収集したデータを統計ソフトウエアを用いて共分散構造分析を行うことによって、調査対象企業における組織的な「失敗からの学び」に関する促進要因と阻害要因を明らかにすることを目的としている。データ収集を行った3社のうち1社については、従前に取得したデータを有していたことから、これを詳細に分することにより、以下の仮説を導出した。 (1)データ取得段階では、失敗者の羞恥心が阻害要因になる、(2)データ取得段階におけるその阻害要因は、利他的精神や共感により緩和することができる、(3)データ配信段階では、合理性の理解が促進要因になる、(4)データ配信段階におけるその促進要因は、利他的精神、自己成長意欲、共感により強化される、(5)情報解釈の段階では、認知的な枠組みや情報の表現方法がこれを促進する、(6)組織記憶に際して、コンピュータはデータや情報の記録には有用である一方で、組織構成員の脳による記憶を阻害する可能性がある また、組織的な「失敗からの学び」にふさわしい組織文化の可視化に関しては、組織文化を表現するためのキーワードを抽出し、キーワード間の認知距離に関するデータ収集を行い、多次元尺構成法による分析を試行し、当該手法の有用性について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、本年度に、従前に実施した予備的調査結果を所与のものとして、1社に対する本格的な調査(インタビュー、データ収集Webサイトの構築、データ収集、データ分析、結果の解釈)を実施する予定であった。 しかし、予備的調査にて収集したデータを多方面から再分析する必要性が生じたので、本年度は、これを実施することから着手し、一定の結果を獲得した。そして、この成果を本格調査のインプットにすることができた。しかし、これは、当初計画にない準備段階の作業であったので、遅れの要因となった。 一方で、当初予定では、アンケートによるデータ収集用のWebサイトをスクラッチ開発する予定であったが、他のアンケートサイトを有効転用することにより、本格調査を実施するのに必要な準備期間を短縮化することができた。このアンケート実施用Webサイトを用いて、組織的な「失敗からの学び」に関する意識調査を当初予定では1社に対して実施する予定であったが、実績では日本企業3社に対して実施することができた。収集データの分析は、翌年度に実施することにより、当初計画通り、もしくは、当初計画以上の進捗になる予定である。 更に、当初、予定していなかった、失敗からの学びにふさわしい「組織文化の可視化」に必要なデータ収集を行うこともできた。この点については、予定以上の進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度収集した3社分の組織的な「失敗からの学び」に関する意識調査データを統計的手法により分析を行う予定である。これにより、今年度導出した仮説を強固なものにする。また、研究期間内に、仮説の検証を目指して、調査対象企業で再調査を行い、時系列分析も行う予定である。 同時に、失敗からの学びにふさわしい「組織文化の可視化」に関連して収集したデータを分析する。これらの過程により、失敗からの学びにふさわしい「組織文化の可視化」手法についても提案を行う。 さらに研究の過程で、組織的な「失敗からの学び」の阻害要因を克服するための教育ツール開発を視野に入れる必要性が生じた。これについては、研究期間内に実施の可否について検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初、当該年度にアンケートによるデータ収集のためのWebサイト構築を実施する予定であった。しかし、アンケートによるデータ収集のためのWebサイトについては、他のアンケートサイトを有効転用することが可能であることが判明したので、軽微な修正にとどまった。このため、支出額が当初予定よりも少額となった。 一方で、研究の過程で、組織的な「失敗からの学び」の阻害要因を克服するための教育ツール開発(ソフトウエア開発)を視野に入れる必要性が生じた。これについては、実施の可否について検討を行う予定であり、この検討に助成金を支出する予定である。
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