2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17K03884
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長瀬 勝彦 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (70237519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 亮太 山梨県立大学, 国際政策学部, 講師 (20897441)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 計画錯誤 / 意思決定 / 目標設定理論 / 開梱効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
集団による計画について、学生が定期試験の勉強時間を計画するときに他の学生と議論することが計画勉強時間や試験の点数などにどのような影響を及ぼすかを調べる心理実験をおこなった。その結果、①最初に個人で勉強時間を計画してから他の学生と勉強時間について議論し、あらためて自分の勉強時間を計画すると、最初に立てた計画よりも勉強時間が有意に長くなるが、試験の点数には影響がない、②計画を立てた者と立てなかった者とでは計画勉強時間、実勉強時間、予想点数、実際の点数において明確な差がない、③試験の成績について具体的な目標を与えられた者と抽象的な目標を与えられた者との間に議論前の計画勉強時間、議論後の計画勉強時間および試験の点数の差がないことが示された。モチベーションの目標設定理論は抽象的な目標よりも具体的な目標の方が高い成果をもたらすと予想するが、本研究の結果はそれに幾分かの疑義を差し挟むものとなる。 集団は個人によって構成されるので、個人レベルの計画錯誤についての研究もおこなった。計画策定の早さ、計画された勉強時間、計画の詳細さと成果との関係を調べた複数の研究では、①計画策定が早い者ほど成果が高い、②計画が詳細である者ほど成果が高い、③長い勉強時間を計画する者は成果が高いことが見出された。計画の策定が早い者と計画を詳細に立てる者が高い成果を得るという発見は、計画に関する研究に一定の貢献をもたらすものである。学生の試験勉強で複数科目の計画を立てる者と単一科目の計画を立てる者を比較した研究では、複数計画者は単一計画者よりも短い計画勉強時間と短い実勉強時間で、また全体としてはより詳しく当該科目部分はより簡素な計画内容で単一科目計画者と同等の成果を達成した。複数計画者の方が作業が効率的である可能性を見出したことには開梱効果との関連において新奇性が認められる。
|