2019 Fiscal Year Annual Research Report
Ex-post evaluation of business integrations through the pure holding company system in Japan
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17K03885
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
川本 真哉 南山大学, 経済学部, 准教授 (60468874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 隆志 明治学院大学, 経済学部, 教授 (60437283)
河西 卓弥 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20516992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 純粋持株会社 / 経営統合型 / 組織再編型 / カプラン・マイヤー法 / Cox比例ハザードモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、純粋持株会社による経営統合の事後評価検証の一環として、純粋持株会社体制を廃止した案件の把握とその要因についての分析を行った。具体的には第1に、純粋持株会社の設立形態を経営統合型と組織再編型に分類し、それぞれの廃止件数、廃止までの期間などの基礎的な情報を取集した。その結果、2018年7月末までに純粋持株会社体制を採用した550件のうち、同時点までに70件、比率にして12.7%の企業が事業会社体制へと回帰したことが明らかとなった。形態別では組織再編型で39件(9.0%)、経営統合型で31件(26.1%)であった。 第2に、Cox比例ハザードモデルによる分析を行った。分析の結果、組織再編型に関しては、①間接部門に重複が生じコスト高となっている企業は純粋持株会社形態を解消する、②成長性の高い企業ほど持株会社体制を維持する、③同業他社の解消が同業界の他企業の解消を促す、などの傾向が見られ、「戦略策定と事業運営の一致」仮説、「パフォーマンスの低下」仮説、「バンドワゴン効果」仮説が支持された。 一方、経営統合型に関しては、同業他社の純粋持株会社体制の解消数のみが統計的に有意となり、同じ産業分類に属する他企業の純粋持株会社体制の解消が同体制の存続に負の影響を与えることが明らかになった。組織再編型の純粋持株会社の解消で確認された傾向が、経営統合型の純粋持株会社解消の場面でも見られることが示された。 また、本年度は上記分析のほか、純粋持株会社化に関するデータセットの拡張に努めるとともに、前年度までに着手していた純粋持株会社による経営統合が事後的なパフォーマンスに与えた影響について、非金融業と銀行業(特に地域銀行)に対象を分けて分析のブラッシュアップを試みた。それらの成果については、書籍や学術雑誌に掲載された。
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