2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバルイノベーションを牽引するITフレームワークの実証的研究
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17K03888
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
太田 雅晴 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (00168949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 宇 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (60445004)
川村 尚也 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 准教授 (80268515)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グローバルオペレーション / イノベーションマネジメント / 情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトでは、競争力あるグローバルイノベーションを牽引するIT ツールおよびIS のあり方を検討する実用性があるマトリックス形式のフレームワークを最終的に提言することを目的としている。 今年度は、昨年度に引き続き、主たる企業でのヒヤリングを実施した。今年度のヒヤリングの結果として目立ったのは、IoTの使い方および製造設備のモジュール化である。これらがこの1年、特に進展したと感じられる。一方で、全社システムなどは、ERPなどの統括パッケージソフトウェアに一本化されつつある。従って、情報システムの新たな包括的なシステム構築のためのフレームワークの提言がなされているよりも、より詳細に現場のデータを収集し、それを日本では独自に培ってきた小集団活動のさらなる活性化に生かそうとしていたり、また、グローバルな生産拠点での品質の統一化や、様々な社会的変化に対応するための生産量の変動に対処するため、生産工程を、より短く、また小規模とするパッケージ化もしくはモジュール化が進展している。 これらは、IoTデバイスの進化や価格の低下と相まって、それらのシステムに関わる開発スキルは先進国も新興国もほぼ差が無く、さらには現業を担う有能な従業員の確保が困難なことも大きな要因である。 一方で、ERPなどの標準的な統括パッケージソフトウェアの導入は、グローバルなサプライチェーンが進展する中で、情報のやり取りを円滑かつ効率的に行いたいという意図も含まれていると判断される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、次の三点について、研究を行うことであった。 1.残されたヒヤリング先グローバル企業に関して、設計したプロトコルに基き、グローバルサプライチェーン、イノベーションコミュニティ、グローバルイノベーションとIT、IS の関係性についての研究分担者で手分けして聞き取り調査を実施する。 2.グローバルサプライチェーン、イノベーションコミュニティに関わる再検討結果、文献レビュー結果、そしてヒヤリング調査結果を整理して、フレームワークの刷新を代表者、研究分担者、大学院生が一丸となって行う。 3.近年のシステム開発方法論が、グローバルオペレーションやイノベーションコミュニティに関わるシステム開発支援にどのように影響しているのかについて継続して調査する。 ほぼ上記視点から研究を行うことができたことは、確認できる。ただ、IoT技術の進展によって、当初予定していた、「近年のシステム開発方法論」と言うのが、必ずしも新しいものができたきたわけではなく、実務界では模索が続いている状況である。そこで我々は、ロジスティックスの分野であるが、” Shipping innovation orientation and capabilities in the digital era”と題する研究を行い、IoTを含めた新たな時代向けのシステムアーキテクチャーを提言した。製造業については、新たなアーキテクチャーが提言できるかどうかは、今後、検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、次を当初、予定していた。 1.研究結果を基に、マトリックス形式のフレームワーク内の個々の枠に該当するシステムの有り様、その開発方法論などについての研究を行う。その際には、システム関連企業の協力を得て、実務的に妥当な方法論とする。また、研究成果が生かせるように、共同研究先企業と共同で新たなシステム開発方法論の開発、およびプロトタイプシステムの試験的開発を行う。2.ロジスティックスシステムとコミュニティーシステムの統合の有り様、それらを前提としたビジネスモデル、フレームの各枠に該当するシステムのシステム開発体制などについて研究する。3.本研究のまとめとして、グローバルイノベーションを牽引するIT のあり方、と題するテーマに関わる書籍を代表者、研究分担者、大学院生が一丸となって執筆し、出版する。 1については、概ね研究は可能であるが、ただ、プロトタイプのシステム開発は、アーキテクチャーの開発に留まりそうである。2については、ビジネスモデル研究に焦点を当てたいと考えている。理由は、IoTの進展によって、オペレーションズマネジメントの状況や、それを支援する情報システムの有り様が大きく変わり、それにともなって、ビジネスモデルも大きく変化する可能性があるからである。3について、出版については状況が大きく変わっていることから、時期尚早と判断できるので、論文の作成に集中したいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた調査出張費用を、他研究費でまかなうことができたこと、できるならば最終年度である今年度で2度ほど調査を行いたいため
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Research Products
(7 results)