2017 Fiscal Year Research-status Report
女性のリーダーシップ・スタイルと組織内育成についての実証研究
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17K03890
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
野村 浩子 淑徳大学, 人文学部, 教授 (30742134)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リーダーシップ / ジェンダーバイヤス / ダイバーシティ推進 / 女性活躍推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における女性リーダーの育成は先進国のなかで大きく遅れをとっている。本調査では定量調査により、リーダーシップ・スタイルの性差とジェンダー・バイヤスの関係性を明らかにし、日本企業における女性管理職育成の課題を浮かびあがらせる。 本年度は、企業20社ほどに依頼するアンケート調査票の策定にあたった。変革型のリーダーシップスタイルを問うMLQ調査票を精査し、日本企業においてリーダーシップスタイルを問う質問票を策定した。また、米ラドマン教授の研究をベースに、ジェンダー・バイヤスを問う質問票を作成した。企業の女性管理職の回答を前提に、こうした調査票が開発されることは、日本でこれまでなかったことである。企業におけるリーダーシップスタイルの性差、ジェンダーバイヤスとの関連を初めて明らかにする調査となる。 さらに、現在役員に就いている女性に対する定性調査を開始した。これまでの「ひと皮むけた経験」を掘り下げて聞くことで、組織内でどのような体験を積むことがリーダーシップを育むことにつながるのか、女性ならではの壁をいかに乗り越えてきたか、インタビューを通して明らかにした。女性役員増が期待されるなか、その成長過程をつぶさに記録・分析することは、今後の女性幹部育成につながると考える。 平成30年度は、企業20社ほどの協力を得て定量調査を実施し、分析をする予定である。また女性役員に対する定性調査も引き続き行い、分析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、リーダーシップスタイルの男女差と、ジェンダーバイヤスが女性幹部登用に及ぼす影響を、定量調査と定性調査により明らかにするものである。今年度は、企業各社の課題をヒヤリング調査しながら、調査票の策定を進めた。調査票の策定にあたっては、米国で研究開発されたリーダーシップ調査票を比較検討した上で、ジェンダー視点での分析が進んでいるMLQ調査票を採用することに決めた。さらにこの調査票を、日本の企業の現状に合わせて検討した。 同時に、ジェンダー・バイヤスの調査票の策定も行った。女性リーダー育成とジェンダーバイヤスの関連性をはかる指標を比較検討した結果、米ラドマン教授の調査方法をベースに日本の社会文化になじむものへと改良していくこととした。 定性調査については、女性役員のインタビューを開始した。これを積み重ねていき、次年度に分析をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、企業20社ほどの協力を仰ぎ、定量調査を行う。これにより、日本企業におけるリーダーシップスタイルの性差と、ジェンダー・バイヤスの影響を明らかにする。30年度中には、分析をほぼ終えて、論文を投稿する予定である。 女性役員への定性調査は、30年度中にほぼ終えて、31年度の書籍出版を目指す。海外の女性役員インタビューも30年度中に始める予定である。
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Causes of Carryover |
29年度に実施を予定していた海外調査(4カ国のうち1カ国)を先延ばしにしたこと、また定量調査の開始が30年度にずれこんだことにより未使用分が発生した。 30年度は、企業約20社に対して定量調査を実施する。調査票作成、調査画面作成、データ分析のために経費が発生する。また海外調査も行う予定で、このために海外調査費用が発生する。
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