2018 Fiscal Year Research-status Report
女性のリーダーシップ・スタイルと組織内育成についての実証研究
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17K03890
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
野村 浩子 淑徳大学, 人文学部, 教授 (30742134)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リーダーシップ / ジェンダーバイアス / ダイバーシティ推進 / 女性活躍推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における女性リーダーの育成は先進国のなかで大きく遅れをとっている。本調査では定量調査により、リーダーシップ・スタイルの性差とジェンダー・バイヤスの関係性を明らかにし、日本企業における女性管理職育成の課題を浮かびあがらせる。 2018年度は定量調査を行い、企業25社にアンケート調査の協力を依頼し、約2500人から回答を得た。この分析結果から、リーダーは男性向きで女性にはふさわしくないというジェンダー・バイアスがある可能性が浮かんできた。また業績につながる変革型リーダーシップに男女差はなく、女性はリーダーに不向きだという通説はあたらないことが分かった。さらには企業内で計画的な女性幹部育成策を取る企業ほど、また管理職必須の研修を行う企業ほど、社員の性別役割分業意識は低く、女性のリーダー意欲が高いことが分かった。企業内のこうした施策が有効であることはうかがえる。 定性調査としては、現在役員に就いている女性に対するインタビューを実施した。これまでの「ひと皮むけた経験」を掘り下げて聞くことで、組織内でどのような体験を積むことがリーダーシップを育むことにつながるのか、女性ならではの壁をいかに乗り越えてきたか、インタビューを通して明らかにした。女性役員増が期待されるなか、その成長過程をつぶさに記録・分析することは、今後の女性幹部育成につながると考える。女性役員への定性調査は、日本で10社、またドイツで8社行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、企業25社2500人の協力を得て、定量調査を実施した。分析結果にもどづき4回の学会発表を行い、論文1本を発表した。この分析は2019年度も引き続き行う予定である。
また日本における定性調査の結果は、日経ビジネスオンラインで11回にわたり連載というかたちで発表した。ドイツにおける定性調査は、日経電子版で発表した。今年度は、これを書籍にまとめて出版する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、企業アンケート調査の分析を引き続き進め、論文をまとめる予定である。企業アンケート調査の自由回答のテキスト分析、またリーダーシップスタイルの性差について、さらに分析を進めていく。
定性調査は、2019年夏にアメリカでの女性役員の調査を予定している。これまでに定性調査を終えた日本企業の役員、ドイツ企業の役員の現状を比較分析を行う。これらの成果を2019年度中に書籍として出版する予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度に海外調査2カ国を予定していたが、1カ国に実施にとどまり、次年度送りとしたため。
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