2017 Fiscal Year Research-status Report
Management Based on Caring: Research on the Significance and Current Situation of Business for Society-type Business
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17K03894
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
潜道 文子 拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | B4S型ビジネス / ケアの倫理 / ソーシャル・エンタープライズ / 社会起業家 / コミュニティ・キャピタル / 地方創生 / CSR / 協同組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外のソーシャル・エンタープライズ(SE)の活動やCSRに関するインタビュー調査などを通じて、Business for Society (B4S)型ビジネスの事例研究を行った。その中で、日本の「地方創生」において、SEを率いる社会起業家の役割や、ソーシャル・イノベーションの成功に影響を及ぼすと想定される、西口敏宏・辻田素子が提唱する「コミュニティ・キャピタル」の意義について論文を発表した。また、台日韓の研究者の共同研究プロジェクトにおいて、地方創生に携わる日本のSEに関する研究報告を行った。さらに、B4S型ビジネスを実施するには事業に携わる人々一人ひとりの倫理性が問われと考えられるが、グローバルなビジネス社会で必要とされる経営倫理的思考や行動力を育成する機会が、日本の教育の現場に十分に存在していない問題について考察した。 海外におけるB4S型ビジネスの事例調査としては、常石造船株式会社の海外拠点のフィリピン・セブ島にTSUNEISHI HEAVY INDUSTRIESを訪問し、インタビュー調査を実施した。また、セブ島に暮らすジャウ族を支援する社会起業家を訪ね、支援の現場を視察した。この調査からは、ケアの倫理と貨幣が介在しない形での活動やものやサービスの動きが作り出す新しい資本主義の創造、および生活の質(Good Life)の根底にある倫理性についての気づきを得た。加えて、B4S型ビジネスであると考えられ、またソーシャル・エンタープライズのひとつである「協同組合」のうち、スペインのモンドラゴン協同組合をとりあげ、日本の地域への導入の可能性を検討した。 その他、平成31年度には、ケアの経営におけるフロー体験としての仕事の意義を研究する予定であるが、平成29年度には、この「フロー体験」と、「働き方改革」及びホスピタリティ・マネジメントの関連性について報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、国内外のソーシャル・エンタープライズ(SE)および社会起業家、また、営利企業のCSRなど、Business for Society(B4S)型ビジネスの調査を行い、研究論文や学会報告などの形で発表を行った。しかし、まだ、B4S型ビジネスの特徴を十分に抽出し類型化するところまでは至っていない。また、平成31年度に予定している、B4S型ビジネスの実践例としてのSEにおける労働を「フロー理論」を中心に考察し、ケアの経営におけるフロー体験としての仕事の意義を明らかにする研究についても、平成29年度において着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、まだ、B4S型ビジネスの特徴を十分に抽出し類型化するところまでは至っていないため、当初の予定にもあるように、平成30年度も引き続き、調査を進める。また、さらに、ケアの倫理や企業倫理、およびB4S型ビジネスに関する文献研究もさらに行う予定である。 平成30年5月には、地方創生という社会的課題解決のために事業を展開する地域に根差したソーシャル・エンタープライズPanの活動とその意義について、国際学会において報告予定である。また、8月には、上述の台日韓の研究者の共同研究プロジェクトにおいて、地方創生事業とコミュニティ・キャピタルの関係について研究報告を予定している。さらに、事例研究に基づき、ケアの倫理と組織の経済的価値の創造、そして、組織能力と知識創造(イノベーション)との関係について研究を行い、論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、Business for Society型ビジネスの特徴を明らかにするため、国内外のソーシャル・エンタープライズへのインタビュー調査を予定していたが、学内業務の関係で、調査回数が、当初予定していたより少なくなったこと、また、購入を予定していたノートパソコンの購入を平成30年度に延期したことなどから次年度使用額が生じた。 平成30年度は、29年度に実施できなかった調査及び30年度に予定している調査を行いたい。また、調査に携帯する小型のノートパソコンの購入も行う予定である。
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