2022 Fiscal Year Annual Research Report
Pluralistic Corporate Governance Model and Industrial Relations in Germany
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17K03900
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
風間 信隆 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (60130803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
H・R Bungsche 関西学院大学, 国際学部, 教授 (10434903)
清水 一之 明治大学, 経営学部, 専任教授 (80515081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多元的企業統治 / 共同決定 / 監査役会 / 労使関係 / 電動車化 / ソフトウエア開発 / デジタル化 / 質的・量的雇用への影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「ドイツの利害多元的企業統治モデルと労使関係」という研究課題で研究を推進してきた。本年度はとくに「電動車化」に直面しているドイツの自動車産業、とくにフォルクスワーゲンに焦点を当ててこうした戦略転換に労使関係がどのように影響を及ぼしているのかに焦点を合わせて研究を行ってきた。その際、現地調査を行えないという事情もあって、文研研究やインターネットでの資料収集とその分析に依拠せざるを得なかった。この過程でフォルクスワーゲンの委託研究の成果であるフラウンフォーファー労働経済・組織研究所(IAO)の報告書を手掛かりに考察を行った。この考察を通じて1)VW経営陣に対する影響力はIGメタルよりも経営評議会が大きいこと(2021年7月のVW社社長ヘルベルト・ディース(Herbert Diess)の解任の背景の一つとして経営評議会との対立があったこと)、2)VW社は2015年9月に発覚したディーゼル・エンジン不正事件により電動車化を迫られ、その後、電動車化戦略を急がざるを得なかったものの、電動車化に伴うサプライチェーンの再構築や雇用の維持をも同時に迫られていること、3)この急速な電動車化に伴う雇用に対する不安がフラウンフォーファー研究所の委託研究の背景にあること、4)その調査によれば、2030年までの雇用については製造組立てよりも内燃機関車のコンポーネント部品事業に大きな影響(負の雇用作用)が予想されること、5)すでにその対策として高齢者早期退職制度や退職者不補充と同時に既存の従業員の再訓練(学び直し)教育が進められていること、6)電動車化に伴い、その競争力の焦点がハードウェアからソフトウェアにに移行すること、これを見据えてVWグループはグル-プ内子会社Carriadに電動車のソフトウェア開発を集中させていること、しかしこの子会社のソフトウェア開発が想定通りには進展していないことが明らかにされた。
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