2017 Fiscal Year Research-status Report
製品批評が生産者の認知地図に与える影響に関する実証研究
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17K03902
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉成 亮 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (00509135)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 製品評価 / 批評 / 経営戦略 / クリティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、クリティクスの製品批評が(a) 生産者の認知、(b) 生産者の行動、(c) 生産者の結果に影響を及ぼし、生産者の認知地図を書き換えるという仮説を立て、検証することである。本研究では、欧州市場に進出し、欧州のクリティクスから一定の評価を受けている国内の刃物製造業者の製品を対象に上述の仮説を検証する。 平成29年度の計画は、第1に、アウトドアナイフの批評を掲載している海外専門誌“Knives: The World's Greatest Knife Book”などの海外雑誌の情報に基づき、海外のクリティクスによる国内アウトドアナイフ製造業者への評価を客観的に調査し、検討することであった。また同じアウトドアナイフの海外専門誌の情報に基づき、ドイツのゾーリンゲンやフランスのティエールなどの海外アウトドアナイフ製造業者と岐阜県関市を中心とした国内アウトドアナイフ製造業者の製品批評を比較し、評価結果の相違を調査し検討することであった。 第2に、海外の専門誌でクリティクスから何らかの批評を受けている国内アウトドアナイフ製造業者が、海外のクリティクスから受ける組織的な影響の程度に焦点を当て、現在、実施しているアウトドアナイフ製造業者への聞き取り調査を実施することであった。 第3に、関市のアウトドアナイフ製造業者(通称、ファクトリー・メーカー)だけでなく、より嗜好性の高い関市のカスタムナイフ・メーカーに対しても同様に、彼らが海外のクリティクスから組織的な影響を受ける程度に関して聞き取り調査を実施することであった。聞き取り調査が当初の計画どおりに進まなかった場合、岐阜県および関市の業界団体から紹介を受け、岐阜県内および関市市内のアウトドアナイフ製造業者にさらなる聞き取り調査を実施することを予定していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画はおおむね順調に進んでいると考えている。特に製品評価に関する関連資料を1981年から2018年まで収集することが可能になったため、約40年間の製品評価の変遷を追跡することが可能になった。 この研究の当初に予定していた約20年という計画の倍の期間にわたって資料を収集し。製品評価の変遷を調査することができるようになり、調査をより多角的にかつより深掘りすることが可能になった。このことが順調に進んでいる根拠である。 資料の調査期間が長期に渡った分、アウトドアナイフ製造業者への聞き取り調査は上記の資料をもとに国内外の対象企業を選定し、その結果をもとに各企業へアプローチする企業数は少なかった。今後は、聞き取り調査を充実させるために、集中的に聞き取り調査を行いたい。長期に渡って行うよりも一定の期間に集中して行う方が研究上、費用上も効率的なため、この時期を注意深く検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究計画は第1に、平成29年度に一部、実施した、国内アウトドアナイフ製造業者への聞き取り調査をさらに充実させ、一部継続していく。国内の範囲も関市だけでなく、都内や関西地区、長岡などより広範囲にわたって聞き取り調査を行う予定である。 平成30年度の目標はこれら聞き取り調査の結果をまとめることである。またその結果をもとに、クリティクスの製品批評が生産者に影響を及ぼす可能性がある、(a) 生産者の認知、(b) 生産者の行動、(c) 生産者の結果に大別し検討する。さらにその大別した結果に基づき、(a)’ 経営者が認知を変更した程度、(b)’ 組織のルーティンが変化した程度、(c)’ 組織の業績が改善した程度に関して、さらに詳細なアンケート調査の項目を作成することである。
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Causes of Carryover |
本研究の中間報告のために実施した国際学会に参加し報告したため、旅費を計上している。今後は集中的に聞き取り調査を実施し、時間的に補経費的にも節約して聞き取りを行っていく。
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Research Products
(6 results)