2018 Fiscal Year Research-status Report
製品批評が生産者の認知地図に与える影響に関する実証研究
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17K03902
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉成 亮 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (00509135)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クリティクス / 製品評価 / 市場の媒介者 / ディーラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、製品の批評家(以下、クリティクスと呼ぶ)の製品批評が(a) 生産者の認知、(b) 生産者の行動、(c) 生産者の結果に影響を及ぼし、生産者の認知地図(Neisser 1976)を書き換えるという仮説を立て、検証することである。これまでの研究では、クリティクスがある種のジャンルの製品を批評するとき、その批評は市場の形成に影響を及ぼす(Zuckerman1999)ことが実証されている。また本研究の申請者(2017)も、異なる市場を対象にしながら、同様の結果を実証し、同様の結論を得ている。 本研究ではこのようなクリティクスの影響に関する研究をベースにしながら、異なる市場を対象に、これまでの研究をすすめている。具体的に本研究の対象として、(研究の当初は欧州市場も念頭にしていたものの、米国市場のほうがより規模が大きく、世界の市場を包摂しているため)米国市場に進出し、米国のクリティクスから一定の評価を受けている国内の刃物製造業者の製品を対象に上述の仮説を検証している。さらに本研究を進める中で、海外市場に進出している国内の刃物製造業者の中でも、アウトドアナイフという欧米で発症した製品を対象にたほうがより本研究の価値を高めると考え、対象を限定しつつ、本研究をすすめてきた。 その結果、クリティクスの製品批評が(a) 生産者の認知、(b) 生産者の行動の関係を実証することが出来、その結果の一部をSuslab3(台湾の台中にて開催された国際学会2019 3rd Advanced Multidisciplinary Views on Sustainable Life & Business )で報告している。この学会では優秀論文賞という一定の評価を得ることができ、本研究の実績として挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の実績にもあるとおり、本研究の当初予定されていた研究対象である刃物産業(およびその産業の事業者)を、その中でもアウトドアナイフメーカーという研究対象を限定することにした。また研究の対象を欧州市場に進出している刃物産業から米国市場に進出しているアウトドアナイフメーカーというように変更し、さらに限定した。 そのことによって、研究はより具体的で、実証的になりつつある。業態団体への聞き取りなども行い、情報を得やすい環境になっている。部分的にはアウトドアナイフ製品評価に関する海外の資料はすでに保有しているものの、その評価の実証方法に関して難航している側面はある。多様な手法を学習する中ですでに解決策を見出しつつある(その評価方法の検討に関して論文を執筆し、その成果を公表している)。 そして部分的ではあるものの、このアウトドアナイフメーカーに関する本研究の成果を国際学会で発表を行い、今後も発表する予定である(つまりすでに論文を作成し、来年度に発表を許可されている)ことから徐々に成果を公開しつつあるという段階に到達しているのが現状である。今後は研究成果を精査しつつ、発展させながら、研究成果を査読論文として形で公開していくことが本研究の使命である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では上述したように、本研究の成果を部分的に国際学会(2019 3rd Advanced Multidisciplinary Views on Sustainable Life & Business) 等で公開している。その成果はすでに評価を受けていることから、これまでの研究の推進方策は間違っていないことが客観的に評価されたと言ってよいだろう。今後も国内の学会で1件と国際学会1件で発表する予定であり(つまりすでに論文を作成し、来年度に発表を許可されている)、また当初から念頭に置いていたANZAMおよび杭州の学会にて発表を計画していることから、徐々に成果を公開しつつある また部分的には研究が現在でも進行中のこともあり、データおよびデータ分析それ自体よりも、今後インタビューなどを行う中で、研究成果は研究者の間で共有されていることになる可能性は高い。すでにインタビュー先などは決まっており、すでにそのインタビューの許可も得ている。 さらに本研究はアウトドアナイフに関するナイフメーカーの業界団体から強力なバックアップを得ることができた。それゆえにこの業界に対してさらなる調査をすることも可能であることから、本研究はこの研究と類似している対象を研究している研究者の間だけでなく、この業界にかかわる実務家へも意義のあるような研究にしていくことが今後の推進方向として付け加わっている。このことが当初の目標にはない、新たな研究の目標にもなっている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、前年度に本来、目的としていた学会の1つであるISA(世界社会学会 World Congress of Sociology)への参加と報告をできなかった。実際には、学会に参加し、当該論文paperを配布する許可を得たものの、発表を機会を得ることができなかった。つまり、テーマに関して次点と言う評価であった。 今年度は研究成果をより精査していくなかで、目的としてる学会の1つに報告の機会を得ようと準備し、本来、目的としている国際学会への参加と、その成果を発表し、論文を投稿するために使用することを計画している。
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Research Products
(2 results)