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2018 Fiscal Year Research-status Report

中間人材に注目した新しい地域活性化人材モデルの構築

Research Project

Project/Area Number 17K03925
Research InstitutionJapan Advanced Institute of Science and Technology

Principal Investigator

白肌 邦生  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60550225)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords資源統合 / 専門知識の活用 / コミュニケーション / 中間人材
Outline of Annual Research Achievements

30年度は,前年度に得た着想を基に全国的な中間人材活動のマクロ分析と中間人材のミクロな知識創造・共有,成長過程の分析をした.具体的には【活動1】として総務省の地域おこし協力隊に関する聞き取り集のテキスト解析を基に,中間人材としての全国的な活動傾向を分析し,【活動2】として石川県で活動する地域おこし協力隊への聞き取り調査を実施し,彼らの資源統合,進化過程について分析した.
【活動1】はHPで公開している2010-18年の間の85名協力隊の聞き取りデータについて,語の共起関係の分析を進めた.結果,中間人材は過去に自らの能力・経験資源を生かして国内外での支援活動をした実績があること.その上で,集落の魅力発見,地域内既存資源の再定義,地域外資源を活用企画の実行,移住促進のための観光交流計画,災害復興支援,のテーマを中核的に進めていること.方法として取材を通じた地域情報の集約,ブログ公開・イベント参加を通じた情報発信,農産品の共同開発が傾向として読み取れた.
【活動2】は石川県の地域おこし協力隊7名に聞き取り調査を実施した.グランデットセオリーアプローチを用いて質的データから概念の抽出を行った.結果,中間人材は1.当初は「よそ者」として現地に臨むが,自身の専門知識を活用しサービス交換を地域とする中で,2.専門家として特定の人々の関心を引き込み,地域に認識されていく.一方,専門知識を始めから活用せずに地域内のコミュニケーションの密度を高めていく場合は,ある種の,3.挑戦者として地域のより幅広い人々の関心を引き込み資源統合の可能性を広めていく.これらの分岐は専門知識の活用とコミュニケーションの活性化がもたらすものであり,両立できた場合は,4.地域資源から価値を創造できるファシリテーターとして地域から認識されうることが分かった.本発見は地域活性化中間人材の成長モデル形成に貢献する意義を持つ.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画及び前年度に追加検討した計画では,30年度は前年度に得た着想を更に洗練させるために,全国的な中間人材の活動の分析について,活動前後の地理的親和性情報も含めたうえで属性情報として定義し,包括的に分析できるデータセットの構築を進めることを目的としていた.これについては,総務省が収集していたヒアリングデータを活用し,分析したことで傾向を見出すことができた.ただ,地理的な情報との関連性については今年度も引き続き検討する必要はある.加えて30年度は,スノーボール方式で新しい中間人材の協力を得て聞き取り調査をすることで,資源の統合スタイル及び自分自身の知識・スキルの他者への正当化プロセスを記述することを計画していたが,これについては7名にデプスインタビューを展開し,中間人材の成長モデルを構築できたことで,目的は達成しているといえる.これら成果は第9回知識共創フォーラムでの報告に結実している.一方で,中間人材の地域資源統合によるイノベーションに向けたファシリテータ機能要件についてはさらなる検討が必要であると考える.テキスト分析はグランデットセオリーアプローチで概念化は達成したものの,それがサービス研究に見られるような価値共創活動実践スタイルとどのような関係があるのか等,さらに深く考察すべき点があると考えている.このように成果とともに課題もあるが,全体計画で記したタスクの観点からは進捗は順調であり,以上の観点から本研究は「おおむね順調に進展している」と考える.

Strategy for Future Research Activity

30年度の発見事項を基に,まず31年度の前半では,前年度課題であった考察の深堀を実施する.具体的には,サービス研究,地域経営研究,アントレプレナーシップ論などのイノベーション人材関連文献の調査実施し,地域活性化を推進する中間人材の成長モデルの洗練をする.
また当初計画では31年度に,それまでのタスクの知見を統合し,地域活性化人材モデルを構築したうえで,アクションリサーチを実施することを計画していた.このための準備として,30年度の研究遂行の過程で,既に地域おこし協力隊に協力を打診し,ある程度の体制基盤を整えることができている.
加えて,アクションリサーチによるモデルの妥当性検証の過程で,中間人材がもたらした多面的な地域活性化が行政指標とどのように関係するかの分析,および活性化人材を地域で育んでいくためにどのような環境づくりが必要なのかについて,制度・政策的提言について検討していきたいと考えている.
研究成果は,サービス研究に関する学会での報告を中心に実施するとともに,成果の現場還元を目的に,行政への報告会や,市民を対象にしたワークショップについても実施をしていきたい.

Causes of Carryover

計画との差異の主な理由は人件費にある.当初は石川県の地域おこし協力隊へのインタビュー調査補助の費用を主たる対象として計画していたが,インタビュー対象数の変更と,補助スタッフの生産性とが相まって,当初の予算を下回るコストでデータを得ることができた.このような状況のために,差異が生じた.次年度はこの経験を基に,質的調査の対象数を拡大することを予定している.

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Journal Article] ウェルビーイング志向の価値共創とその分析視点2018

    • Author(s)
      白肌邦生・ホーバック
    • Journal Title

      サービソロジー論文誌

      Volume: 1 Pages: 1-9

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 地域コミュニティを変革する「境界人」としての地域おこし協力隊の分析2019

    • Author(s)
      坂口諒介・XU Changyuan・白肌邦生
    • Organizer
      第9回知識共創フォーラム
  • [Presentation] Transformative service research in aging Asia: introduction to TSR for the elderly2018

    • Author(s)
      Kunio Shirahada
    • Organizer
      ICServ 2018
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Value co-creation of service for Hari feeling: the case of art community activity2018

    • Author(s)
      Itsuro Kaneyama and Kunio Shirahada
    • Organizer
      ICServ 2018
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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