2019 Fiscal Year Research-status Report
介護との両立に伴う労働生産性損失の測定とその影響要因
Project/Area Number |
17K03926
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
西久保 浩二 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70447704)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護と仕事の両立 / 労働生産性 / プレゼンティーズム損失 / プレゼンティーズム尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究テーマの定量的検証のために、プレゼンティーズム損失に関するこれまでの健康経営分野での先行研究の検証作業を行い、いくつかの信頼性のある測定方式についての具体的な応用可能性を検討した。 その結果、QQmethod方式(積算、和算)、WFun(Wrok Functioning Impairment Scale)方式など、複数の方式が介護との両立時でのプレゼンティーズム損失の測定に応用できるものと結論づけ、応用のために質問表現および回答選択肢表現の開発を行った。 今回の研究テーマ検証のためにインターネット調査の設計と実査を行った。この実査で得た標本データに基づき、一時的な分析として生産性損失率、損失額、労働機能障害の算出を行った。 QQmethodでの二つの方式(積算、和算)でのパフォーマンス低下率(損失率)では前者(積算方式)が0.48(48%低下)、後者(積算方式)が0.31(31%低下)となった。損失額では、現在の介護状態になった期間を考慮した総損失額は、前者で908万円、後者で580万円となった。また、WFun方式での労働機能障害スコアも得られている(平均値12.5)、健康経営において機能障害があるとされた21ポイントを超える介護中の労働者割合は18.5%であった。 これらの損失性指標に対して要点分析を行った。生産性低下や労働機能障害を促進する要因として「要介護度」「徘徊」「体位変換補助」「睡眠不足」「買い物やごみ出し」などが明らかになった。加えて、生産性低下を抑制する要因として「(主たる介護者が)配偶者」「寝たきり」など有意な結果となった。 現在までの検証成果は本年度の日本労務学会研究発表大会(神戸大学)での報告が認められており、7月18-19日に報告する。既に大会用論文は提出済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマの低理容的検証のための実査も終了し、良質なデータが得られた。また、当初、計画していた分析も順調に進められており、その結果も満足できるものである。初期的な分析結果も当初より想定していた仮説を支持するものとなっており、研究目的が達成できたものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
引続き、新たな分析手法を用いて、詳細な分析を行う計画であり、さらに実務的な含意の得られる分析成果を得る計画である。
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Causes of Carryover |
実査費用が計画時より低額となったため。 日本労務学会での発表と論文投稿の計画が次年度に変更となり、そのための諸経費に使用予定である。
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