2019 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization of lean transformations through mapping tools and empirical assessment of economic values
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17K03933
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
目代 武史 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (40346474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇山 通 九州産業大学, 商学部, 准教授 (50584041)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リーン生産方式 / マッピングツール / VSM / 物と情報の流れ図 / 改善活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リーン生産方式の導入や改善の過程を可視化する手段としてマッピングツール(VSM)に着目し、その概念的拡張、生産現場への適用方法、その有用性と課題の探求に取り組んだ。VSMは、生産工程を原材料や仕掛品、完成品の加工や運搬、滞留などのモノの流れと、注文情報生産計画、生産・運搬指示などの情報の流れから記述する管理ツールである。本研究では、自動車部品産業におけるVSMの活用実態を調査し、活用方法、組織体制、成果、前提条件、等の解明に取り組んだ。 その結果、第1に、リーン生産方式の導入や改善においてVSMが非常に有効なツールであることが示された。VSM分析は、生産工程全体のどこにモノや情報の滞留があるのかを可視的に示し、全体最適の観点から改善ポイントを特定するうえで非常に効果的であった。第2に、VSMは改善ツールであると同時に、調査企業においては人材育成の手段としても用いられていることが明らかになった。海外のVSM文献では、VSM作成及び解析を自動化する研究もみられるが、これは人材育成の観点からは必ずしも効果的な方策とはならない可能性がある。VSM作成のためのデータ収集や将来の望ましい姿を検討する過程そのものがリーン生産に対する理解を深めさせるためである。第3に、VSMの活用における学術的/実務的ノウハウを蓄積することができた。VSMそのものは静的な分析ツールであるため、常に状況が変化する生産現場を記述するためには、データ収集の条件(例えば、場所や時間帯など)を揃える必要がある。本調査から得られた調査ノウハウは、今後のさらなるVSM研究において財産となろう。 最終年度には、生産現場におけるIoTやAIの導入・普及がVSMの有用性や活用方法に与える影響に関して研究に着手した。海外(ドイツ)の研究者との共同研究体制も構築しつつあり、今後は国際比較研究へも発展させる予定である。
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