2017 Fiscal Year Research-status Report
動態的能力構築メカニズムの解明:組織の共進化理論の拡張をめざして
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17K03934
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朱 穎 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (50334610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 組織能力 / 動態的メカニズム / 共進化理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に文献研究を中心に「組織デザインと外部環境との共進化理論」に関する既存研究をレビューし、本研究の着目点となる組織の動態的能力の進化メカニズムを分析するための理論的枠組の構築を試みた。組織の共進化理論について、これまでの研究は組織統合、及び経営的プラクティスと外部環境との関係に焦点を当ててきた。それに対して、本研究では、組織の長期的進化能力を考えるには、組織のサブユニットにおける様々な活動を統合するための調整的メカニズムに注目するところには特徴がある。本年度では、組織内メカニズムと外部環境との相互依存的適(Interdependent fit)の概念に焦点を当て、文献レビューを行った。また、より内部メカニズムを抽出するため、近年再び脚光を浴び続けたRegulatory Focus理論に注目し、この理論を組織論の文脈において拡張するための理論構築作業及び実証研究を行った。Regulatory focus理論は心理学や認知科学の分野で大変研究蓄積があるが、組織文脈における分析が薄いため、本研究は組織が異なる環境変化(イノベーション・新製品開発)に直面する際に、どのようなregulatory fociを持てるのかに関する分析を行った点において、大変ユニークであり、研究の新規性が得られる可能性が高い。なお、この暫定的研究成果は経営戦略論研究で定評のある国際学会Strategic Management Society Annual Conferenceに採択され、レビューアから大変ポジティブなコメントを頂いた。今後、こうした国際学会で得られるフィードバックを元に、理論構築の精緻化及び実証研究の妥当性を図る作業を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献レビューはある程度進行し、国際有力学会での研究発表が決まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
文献研究の精緻化を図るため、既存文献、特に近年に発表された文献に対するレビューを行うと同時に、海外の研究者と新しいアイディアにつながるディスカッションを積極的に行っていく。また、データ収集について、アーカイブ・データやインタビュー・データの収集を行ってく予定である。
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Causes of Carryover |
研究スタートした時点で代表者が北米大学に滞在することになり、海外調査で予定された経費はかなり節約されたからである。その分に関して、本年度の海外調査及び海外学会発表のために計上されている。
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